ケージの4'33"(1952)と言えば、多くの人がその名を知っている有名曲。にもかかわらず、その演奏を聴いたことがある者はほとんどいないという、秘密結社的作品である。まあ、もっともその気になれば、時計片手に自分勝手に「鑑賞モード」に入ることが出来るのだけれど。
新ためて言うまでもないが、この曲は「偶然性の音楽」の代表的な作品。ケージはキノコマニア(妖しいなぁ)だったが、その彼が偶然性にこだわっていたのは、「辞書を引くとキノコ(mushroom)はミュージック(music)の隣にある。全然関係ないものが隣り合っている偶然性は、世にも稀な美しい姿だ」ということだそうである。非凡な人は、凡人には考えも及ばないようなところに美を感じるんですね。
私も物好きなもので、この4'33"の楽譜、購入しました。 どんなだったかというと、音符の羅列、ではなくて、音符は一つも書かれていません。どうぞご覧下さい。安くなかったのに騙された気分もしないわけではない。
同じケージの偶然性の音楽で私がちょっぴり気に入っているのが「ラジオ・ミュージック」(1956)。これは8つのパートに分かれた奏者(?)が、指定された演奏時間内で、指定されたことをこなす、というもの。もっと解りやすく言えば、6分の間に、各人が楽譜(?)に指定された周波数にラジオのチューニング・ダイヤル
を合わせていくというものである。ははははっ、という音楽(?)なのであるが、たまたま持っていて、ここに紹介しているCD(輸入盤CRAMPS RECORDS CRS-CD101)では、キューとかビリビリという周波数ノイズのなかに、かすかにモーツァルトのピアノ協奏曲なんかが聴こえてきて、妙に郷愁を誘われたりする。「おかぁさぁ~ん」って叫んでしまいそう。こういう風に聴くと、モーツァルトの音楽ってすばらしいなぁ、と実感してしまう。
ところで、学習能力に欠ける私は、この曲の楽譜も買ってしまいました。音符が1つもないところは4'33"と同じ。
だが、こちらは「お得なことに」、ちゃんとAからHまでのパート譜に分かれてます。
そんな偶然性という一回限りの音楽を録音に残すということが作曲者の望むところかどうかは別としても、聴いてみたいというのが人情というもの。
紹介した「ラジオ・ミュージック」のCDは、おそらく店頭にはなく、ショップに注文しなくてはならないと思う。人生に刺激が欲しい人は買っても損はないはず。もちろん、このCDには4'33"も収録されています!←ブログタイトルに偽りなし!


