前回、クラシック音楽ファンなら猫でも知っている「レコード芸術」誌について触れた(あつ、誰でも、です)。未だに「レコード」という語句を使い続けているのが、いかにもこだわりがありそうで素晴らしい(改名することに躊躇しているだけのような気もしないではないが)。
そのレコ芸誌、今から10年ほど前に、大誤植をやらかした。クラシック音楽業界版VOWネタの最高峰である。
正確に言うと、レコ芸誌が悪いのではない。なぜならCDの広告における誤植なのだから。やってくれました、徳間ジャパン、である。
見づらいかも知れないが、写真はそのときの広告ページのコピー。
お気づき?右下のモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風、風、風……」。いやいや、誰がこんな誤植をしたのか?欲求不満の広告担当者の無意識下のミスか?あるいは、ここいらで世の中をあっと言わせるような悪戯をしてやれという確信犯的行為か?
でも、この頃には「トルコ○○」というのは禁止用語になっていたはず。となると、かなり老練な印刷技術師―そんなんが居ればの話だけど―のいい加減な仕事の結果か?
これだけの大ミスなのに、この話題はNHKニュースでも取り上げられなかったし、誰も喜び勇んだ騒ぎを起こしもしなかった。
のちにこのミスを指摘したのは、鈴木淳史氏だけ(洋泉社新書「クラシック悪魔の辞典」完全版)。私と同世代。喜びのツボは共通しているのか?(しかし完全版と銘打った同書には、初出のハードカバーにあったある記述が消え去っている。日本の女流ヴァイオリニストに関する記述。圧力がかかったのか、筆者が読み返して下品だと反省したのか?)
こんなタイトルの曲を書いたなら、モーツァルトの妻・コンスタンツェは「ゴルフィ、また仕事もしないで女遊びばっかりして!」とヒステリーを起こすこと間違いなしだ(そんな彼女は、夫以外の男の子供を産んだという説があるが)。
一応申し上げておくならば、彼のヴァイオリン協奏曲第5番が「トルコ風」という名で呼ばれているのは、終楽章のロンドにトルコ風の楽想が用いられているためで、Hな意味では決してありません。
