マーラーの交響曲第1番の演奏は数多くのCDが出ているが、私がお薦めするのはラインスドルフ/ボストン響による1966年録音の演奏。録音は古くなったが、十分に鑑賞に耐えうる。
私が薦める理由は、この曲を知ったLPがこの演奏で、何回も聴き返して私の心に刷り込まれているということが一つ。と言っても、こんなことは推薦理由にならない。この演奏、強弱のつけかたが実にユニーク。特に他で聴かれないのが、第4楽章の主要動機の扱い方。
タ、ター、ター、ターーという4つの音から成るこの動機は、第4楽章第1主題の前半部を構成する要素であるが、これが296小節で再現されたとき、他の演奏では第4音目(298小節目)は、音が上がるトランペットを浮き立たせるのだが、ラインスドルフは音が下がるトロンボーンの方を強調している。そして、これがなかなかいい。同様に、コーダに入った630小節目でこの動機が高らかに吹奏されるときも、第4音(632小節目)は、下降するトロンボーンを強調。これが、重量感を醸し出している。
ちょっと違和感があるかも知れないが、慣れると「うん、君の気持ちわかったよ」って感じである。私が持っているCDは輸入版でRCA-R09026 63469 2だが、現在は国内版も出ているようだ(RCA-TWCL2007。タワーレコードのみでの扱いのよう↓)。2枚組でカップリングはお得なことに(?)マーラーの第3番!