プフッツナーという作曲家は、一般にはあまり知られていないのではないだろいうか?
いや、音楽ファンの間でも、「私はプフィツナーの作品を1日に1度は聴かないと、食事も喉に通らないんですよ」という人は、まずいないと思われる。
プフィッツナーはドイツの作曲家で、1869年に生まれ、1949年に没しているので、時代的にはマーラーやリヒャルト・シュトラウスと重なることになる。
しかし、彼はロマン主義からいわゆる“現代音楽”への流れに反し、ロマン主義を貫いた。
ところが、時代の潮流の中では、本人の意志は立派だったのかもしれないが、作品としてはほとんど忘れ去られる結果となったようだ。彼にはカンタータ「ドイツ精神について」なんていう、タイトルを聞いただけで身構えてしまいそうな曲もある(私は聴いたことがないけど)が、なんだか「らしいなぁ」と思ってしまう。
そんな彼の作品の中でも、とても愛らしくすがすがしい曲がある(といっても、私は彼の曲を数曲しか知らないのですが)。
「小交響曲ト長調Op.44」。
名前の通り20分ほどの小曲であるが、4つの楽章からなっている。
この作品を私が知るきっかけとなったのは、毎月通い始めた札幌交響楽団の定期演奏会のプログラムにのったからである。さらには同じ年の1974年に札響初のレコーディングとして、ベートーヴェンの第3交響曲とのカップリングで東芝からLPレコードが発売された。指揮は当時の札響の常任指揮者であったペーター・シュヴァルツ。
このレコードは、「小交響曲」としては、おそらく世界初録音だったはずである。
このLPの解説で横溝亮一氏―この方は、当時の札響定期のプログラムに解説を書いていた―は、「私は札幌でのレコーディングを聴きながら、ヨーロッパの春、そして、ライラックの花香おる北海道の新緑の季節をしきりと思い浮かべた」と書いているが、まさにそのような感じの曲。ここには「ドイツ、ドイツした重さ」はない。
現在、私が聴いているのはアルベルト指揮バンベルク交響楽団のもの(輸入盤CPO 999 080-2。1989-1990録音)。このCDには、(おそらくは)プフィッツナーらしい「がっちりとした響き」の交響曲第2番も収録されている。
ところで、札響のLPのデータには、“録音年月日1947年2月6.7.8日”と書いてある。
「おいおい」である。