BachCPE  昔は「ヴォトケーヌ」とも
 バッハ(Johann Sebastian Bach 1685-1750 ドイツ)の次男、カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ(Carl Philipp Emanuel Bach 1714-88 ドイツ)は前古典派の音楽家として、交響曲や協奏曲、ソナタの様式確立に大きく貢献をした。

 その彼の作品にはベルギーの音楽学者ヴォトケンヌ(Alfred Wotquenne)が1905年に作り上げた作品目録の番号、Wq.がつけられている。
 ヴォトケンヌはその前年の1904年には、グルックの作品目録も出版している。こちらも作品番号はWq.である。

 C.P.E.バッハの作品にはヴォトケンヌ番号のほか、H.で表記される番号もある。
 こちらはアメリカの音楽学者ヘルム(Ernest Eugene Helm)が1989年に作成した番号である。

 カール・フィリップ・エマヌエル・バッハの音楽の魅力はバロックのような響きとバロックにはない大胆ともいえる運動性。
 近年評価が高まってきているとはいえ、もっと広く聴かれてもおかしくない作品がたくさんある。

 数多い宝石のような作品の中から、今日はチェンバロ協奏曲ハ短調Wq.43-4,H.474(1771)

 Allegro assai - Poco adagio - Tempo di Minuetto - Allegro assai の4つの楽章からなり、第1楽章が第4楽章で再び登場する形。

 前も書いたが、この回帰が実に印象的。

 美しいが影のあるメロディーが終楽章で再び姿を現すところは、街中でとても清楚だが憂いを湛えた美女を見かけ、数日後にその人を奇跡的、超偶然的に再び見かけることができた、そんなときめきめいた気持ちに襲われる。