先週の月曜日(抽象さを排除して言うなら8月6日)の昼。
ここ数日生野菜不足だなと思っていた私は、クソ暑いなか阪急三番街まで足を運び、デリカKYKでお得ななんとかという弁当を買った。この弁当はカニクリームコロッケと海老フライとヒレカツが入ったお得な弁当である。
私が、なぜ野菜不足なのに揚げ物トリオの弁当を買ったのか理解できない人は鈍い人である。その弁当にはキャベツの千切りが入っているからである。
九重祐三子推薦ではないが
翌日の朝。
LAWSONの弁当は食傷気味だし(このバラエティミックス弁当は、さすがに胸いっぱい。老いた私にはつらかった)、近くのセブンイレブンはこの時間まだ弁当が入荷していないので棚はスカスカだし、ファミマは店の周りがやけに汚らしくて近寄りたくないし……ってなことで、あまり期待せずに阪急梅田駅のなかにあるASNASに寄ってみた。
なぜあまり期待してないかというと、ASNASの弁当は総じて小ぶりだからだ。年のせいで食が細くなった婦人部向け、もしくは食べ過ぎに気をつけている女性部向けって感じなのだ。
ところが、この日私の目に飛び込んで来たのは“新発売”の『九重弁当』なる幕の内弁当の系譜に連なる一品。漢字が読める私にとって、黒光りしたシールに金色で抜いた文字で中身に何が入っているか一目瞭然なのもうれしい(“出汁御強”と書かれてなくてよかった)。
実際食べてみると、どこから箸をつけていいのか迷うほどの内容の豊かさ。私は0.4秒悩んだあげく、ニンジン片から食べた。
430円という値段もリーズナブルだ。セブンスターより安いのが、根拠はないが、良く思える。しかし、やはりボリュームが、特にご飯が足りない。私がそう思うのだから九重部屋の力士ならこれを9個食べても物足りないだろう。
幾何学的にかなり難題だろうが、ぜひとももう1枠増やしてそこにご飯を入れてほしい。つまり十重弁当だ。ASNAS弁当開発部門の方々に大いに期待したい。
第九じゃなくて大九
ところで、音楽では三重奏とか四重奏とかあるのはご存知のとおりだが、九重奏曲ってあるのだろうか?(“ここのえそうきょく”ではなく“きゅうじゅうそうきょく”と読むのが正しいと思われる)。
あるのである。
私は聴いたことはないが、シュポア(Louis Spohr 1784-1859 ドイツ)の作品に「大九重奏曲(Grand nonet)」ヘ長調Op.31(1813)ってのがある。九重の上に大までつけるという強欲さ!編成は、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンである(4楽章構成)。
では、十重奏の作品ってあるのだろうか?(“じゅうじゅうそう”って焼肉ハウスみたいだ)。
私も長きにわたり音楽を聴いてきた、あるいは実際に耳にしていないが作品名を目にしてきたが、十重奏(Dectet)と名のついた作品は知らない。
ソロを支えるのは九重奏
フランセ(Jean Francaix 1912-97 フランス)の「ハイドンの主題に基づく11の変奏曲(Onze variations sur un theme de Haydn)」(1982)。
コントラバス独奏と9つの管楽器のための作品(おぉ、十重奏!)。
フランセらしい、ウィットに富んだ楽しい作品だ。
野田一郎のコントラバス、マインツ管楽アンサンブルの演奏を。
1987年録音。wergo。
なお、フランセは九重奏曲も残しているし、木管十重奏の作品も書いている。
惜しい間違えなのだが、この間違え語句、案外言いづらい。
再び、ASNAS弁当開発部ご一同様!
容器の形状上、十重弁当が無理ならば、大九重弁当でもよかです。