読んでいて居心地が良いとは言えない
読者からの膨大な数の問いと、村上春樹がそれに答えたものをまとめた「村上さんのところ」(新潮社)。
買ってから何か月か経ったのに一向に読み進まない。
なかには面白い問答もあるものの、総じてつまらないのだ。
まず、どーでもよい質問が多い(何を聞いてもいいんだろうけど)。
そして村上春樹の回答も、敢えて巧みにはぐらかしている感のものもあるのだが、かえって答えない方がいいのにと感じるいい加減というか人を食ったようなものが少なくない。村上氏としてはいい加減に答えているつもりはないのかもしれない。けど、これだけあーだこーだ聞かれると自然とヌケちゃんだろう。誠意や気合が。
輝かなくたっていいんです
まだ全体の2割も読み進んでいないのだが、そのなかでちょっと印象に残ったものを。
日付は2015年1月27日。統合失語症の38歳の女性の質問。
タイトルは「輝く女性」
内容は、安倍首相がさかんに輝く社会を!と言っているが、病気のため思うように仕事はできないし、事情があって子供も産めないのでなかなか輝けない。女性は、子供を産んで、かつ生産的な仕事をバリバリする輝く女性にならないといけないのか?そんなのは政治家のおっさんにとって都合のいいだけの女じゃないのか、という主旨のもの。
村上春樹氏は、
僕のまわりの「輝いている」女性たちはみんな、安倍さんに向かって「おまえなんかに、いちいち輝けと言われたくないよ」と言ってます。たしかに余計なお世話。とくに輝かなくてもいいから、女性が普通に公平に働ける社会があればいいんです。
と答えているが、これはとっても良い(私好みの)答えだ。
わかりましたか、アベどの。
こういう、ピリリとした感心させられる問答がまたいつどこで出てくるかわからないので、がんばって最後まで読もうと思う(「少年カフカ」も最初の10ページくらいで挫折してすでに何年も経つ。あれは文字が小さいのも辛さの要因だが、「村上さんのところ」は電子書籍なので文字が小さいというのは言い訳にできない。誰も私の言い訳なんて聞いてくれないけど)。
「村上さんのところ」よりも少し遅れて並行して読んでいた浅田次郎の「勇気凛凛ルリの色」(講談社文庫)の方が、冒頭からすっかり引きこまれて先に読み終えてしまい、勝手に勝負させてすまないが今回は浅田氏の圧勝。
まあ傾向はまったく違うし、「村上さんのところ」は作家としての村上春樹の作品じゃないからな……
私は“趣味としてのブロガー”
ところで先般刊行された村上春樹の「職業としての小説家」(スイッチパブリッシング)。
9月13日付の北海道新聞で、文芸評論家の横尾和博氏は“抽象的な話ではなく自分の体験と感受性、創作の秘密を奢(おご)らず率直に自然体で語った稀有な書である”と評している。
これは「村上さんのところ」より先に読まなきゃ。
その前に買わなきゃ。
これは(電子書籍化されるかどうかはわからないけど)“本”を購入したいと思っている。
バッハ(Johann Sebastian Bach 1685-1750 ドイツ)の「教理問答書コラール(Katechismus Chorale)」BWV.669-689。「ドイツ・オルガン・ミサ」とも呼ばれる。
この曲集は「クラヴィア練習曲集第3部(Klavierubung,3 teil)」(1739刊)に含まれており、前後に前奏曲とフーガ変ホ長調BWV.552「聖アン(St.Anne)」の前奏曲とフーガが配置されている。
全21曲は以下のとおりだが、「クラシック音楽作品名辞典」(井上和男編:三省堂)によると、曲順はルター派のミサの順に組み立てられ、主に教理問答歌のコラールを定旋律とするという。
また、曲名のあとに★印を付したものはペダル鍵盤付き大オルガンのための曲。それ以外は、手鍵盤のみのオルガンのための曲である。
キリエ,永遠の父なる神よBWV.669 ★
すべての世の慰めなるキリストよBWV.670 ★
キリエ,聖霊なる神よBWV.671 ★
キリエ,永遠の父なる神よBWV.672
すべての世の慰めなるキリストよBWV.673
キリエ,聖霊なる神よBWV.674
いと高きところにまします神にのみ栄光あれBWV.675
同BWV.676 ★
同(フゲッタ)BWV.677
そは聖なる十戒なりBWV.678 ★
同(フゲッタ)BWV.679
われらみな唯一なる神を信ずBWV.680 ★
同(フゲッタ)BWV.681
天にまします我らの父よBWV.682 ★
同BWV.683
われらの主キリスト,ヨルダンに来たりBWV.684 ★
同BWV.685
深き淵より,われ汝に呼ばわるBWV.686 ★
同BWV.687
われらの救い主なるイエス・キリストはBWV.688 ★
同(フーガ)BWV.689
レオンハルトのオルガン演奏によるCDをご紹介。
ただし全曲演奏ではなく、11曲を抜粋したものである。
1988年録音。ドイツ・ハルモニア・ムンディ。