「ブルックナーの交響曲でも、第6番を聴くようになると、かなり“通”と言えるだろう」といった文章を、LPレコードの解説か何かで読んだ記憶がある。
マーラーの音楽とともに、ブルックナーの音楽も聴かれ始めた頃の話である。まあ、その時代には確かにそうだったのかも知れないけど、こういう言い方って私は嫌いである。
その私であるが、ブルックナーの交響曲第6番(イ長調)は、彼の交響曲のなかでも早くに耳にした。最初に聴いたのは第4番「ロマンティック」。そして、次に知ったのが6番だったと思う。だから、私は“通”でもなんでもなく、タイミング的にそういうふうになったのだ。
岩城宏之がN響の定期で取り上げたのをFMで聴き、テープにも収めた。その少し後に、岩城宏之が札幌交響楽団の定期でこの曲を指揮した。
だから彼の作品のなかでも、私は早くに知ったのである。それだけ。
私はマーラーとほぼ同じ時期に並行してブルックナーも聴くようになったが(マーラー・ブームという言葉はあったが、ブルックナー・ブームという言葉はなかった)、この二人の作品はまったく質を異にするもので、マーラー好きはブルックナー が好きになれないし、その逆のことも言える、と当時は言われていた。
確かに、私はマーラーの音楽には深く共感したが、ブルックナーには心底惚れはしなかった。でも、今ではそんなこと自体、あまり言われなくなってしまったし、別に私も特別に対立構造のように意識はしていない。
いったいあれはどういう根拠の“楽説”だったのだろう。
ところで、第6番であるが、ブルックナーとしては規模が小さく(長さという面で)、メロディーだってとてもいい。“通”どころか、逆に入門曲にさえなるのではないかと私は思っている。少なくとも私には、有名な第4番よりもずっと楽しめる。
私が好きな演奏は、レーグナー指揮のベルリン放送響のもの。1980年の録音。シャルプラッテンのKICC9515(タワーレコードのインターネットショップで1,800円。なお、写真は旧盤のもの)。シャルプラッテンの響き豊かな録音が、この曲にとても合っていると思う。
そういえば、ブルックナーの音楽には女性ファンが少ない、という話を聞いたことがある。
ホンマかいな?
解るような気もするけど。
でも、女性作家の高野史緒の小説「ムジカ・マキーナ」では、ブルックナー教授なる人物が準主役級で登場している。こういう扱いを受けているということは、ブルックナーにだって女性ファンはいるということだ。当たり前かも知れないが(ブルックナーがロリコンだったことも、ちゃんとにおわされている。でも、物語中のブルックナーは、しっかりした意思の持ち主に描かれすぎかも)。
物語はおもしろいが、途中ちょっと間延びしてしまうのと、先が読めちゃうところがあるが、音楽を題材にしたサスペンス(?)として、音楽ファン(特にブルックナーとウィンナ・ワルツのファン)にはじゅうぶん楽しめると思う。
新館入口(2014.6.22~)
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