「峡谷から星たちへ(Des canyons aux etoiles)」。何かとっても美しい曲名である。
 メシアンがニューヨークのムジカ=エテルナの委嘱によって1970年から74年にかけて作曲した作品。3部12曲から成る。
 美しい魅惑的な曲名だが、聴き手にたいしてはけっこう厳しい音楽である。けれども私はこういう曲、嫌いではない。3年に1度くらいは聴きたくなる。

 この曲は、メシアンがユタ州へ旅行したときの体験を音楽化したもので、大地の美、岩と鳥の歌、物質的精神的な天空の美など、神のすべての創造物への讃歌だという。メシアンらしいコンセプトである。

 編成はオーケストラのほかに、ピアノ、ハーモニウム、ホルン、シロリンバ、鉄琴、エオリホーン(風音楽器)、ジュオホーン(大地の音を出す楽器!!!??)、各種打楽器である。
 この編成を見ても、聴く者に対し、異様な緊張感、期待619c61c6.jpg 感、恐怖感を抱かせるというものだ。にしても、大地の音を出す楽器って……

 曲の長さは1時間半ほど。魅惑の90分をあなたもぜひ体験しませんか?
 っていっても、悲しいことに現在CDは発売されていないよう。でも、今年はメシアンの生誕100年にあたるから、リリースされる可能性は小ではない。
 ちなみに私が持っているCDは写真のもので、MONTAIGNEのMO782142(1990年のライブ録音)。あんまり良くないというか、CDに雑音が出始めている。演奏が良いか悪いかは何とも判断できない。演奏者は写真を参照してください。

 ねぇ、あなたぁ?物質的精神的な天空の美ってどういうことなのかしらね?……