W.A.モーツァルトのセレナード第6番二長調K.239「セレナータ・ノットゥルナ」。1776年作曲だからモーツァルトが20歳の作品ということになるが、音楽そのものもはつらつとした喜びにあふれている。
私は特にこの曲が好きだったわけではない。
しかし、愛というものは突然芽生えるものだ。
今から10年ほど前のある土曜の昼下がりに(三善英史の「雨」みたいだ)、この曲をかけながら転寝(うたたね)してしまったことがある。そのときに、この第3楽章の繰り返し現れるメロディーに妙な親近感といらだちを覚えた。
この相容れない2つの感情が私のまどろみの意識のなかで融合し、核分裂を起こし、裏ごしされ、冷蔵庫で十分冷やされ、固まった頃、この曲が好きになった。
私の心を迷わせたその第3楽章はロンド形式で書かれており、楽しげなメロディーが執拗に繰り返される。夜の音楽というか、祭りの音楽というか、盆踊りというか…。そんな曲なので、昼寝時には確かにうるさい。耳元に何度もやってくる蚊のようである。
この曲がどのような目的で書かれたかはわかっていないし、「セレナード・ノットゥルナ」という名称も、父・レオポルトの筆跡だという。
特徴的なのは、2群のオーケストラを必要とすることで(2vn,va,cb群と、弦楽&ティンパニ群)、この2つが協奏的に掛け合い二重合奏をする。さらに、セレナードとしては異例なことに、楽章が3つしかない。ティンパニが編成に加わっていることも、セレナードとしては珍しい。
レオポルトの筆跡で書かれているタイトルの「ノットゥルナ」というのは“夜”のことだが、もともとセレナードというのは“小夜曲”のこと。
だとすればこのタイトルは“夜の小夜曲”か“小夜曲の夜”ということになり、いずれにしても言葉が重複していることになる(この曲が二重合奏とな っていることと何か関連があるのだろうか?)。
私が好きな演奏は、コープマン指揮アムステルダム・バロックoの、躍動感あふれるピリオド演奏(ジャケットのコープマンのどアップは、モーツァルトの音楽にはふさわしくない感じもするが)。特に第3楽章のアドリブが、曲がもっている楽しい気分を一層盛り上げてくれる。
エラートのWPCS21106(1988録音)。価格は1,050円でタワーレコードのインターネットショップに在庫あり。カップリング曲は、セレナード第7番二長調K.250(248b)「ハフナー」(1776)他。
こういったCD紹介場合、ふつうなら「ハフナー」をメインに取り上げるんだろうけど……
新館入口(2014.6.22~)
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