イタリアのドメニコ・スカルラッティ(1685-1757)のソナタ。
 ドメニコはアレッサンドロの子で、ナポリ楽派の歌劇作曲家であり、卓越したチェンバロ奏者であった。ついでに言うと、生まれた年はJ.S.バッハやヘンデルと同じである。

 彼のチェンバロ・ソナタは全部で550曲以上ある。その本来の名称は「練習曲」で、いくつかの作品を除いて楽章構成を持っていない。

 私もとても全部を聴けないでいるが、知っている中でも「ロ短調K.27」が好きである。
 暗くてイライラするのが良い。この頃の音楽は、あまり1b0760c1.jpg 感情に左右されずに書かれたと言われるが、けっこう深遠で、足の裏が痒いけど、掻いたらくすぐったいだろうし……っていうような悩みを訴えているかのようだ。
 なお、Kの作品番号は、カークパトリックという人がつけた整理番号である。

 推薦盤は19曲を抜粋したスコット・ロスのチェンバロによるCD。とても生き生きとした演奏。エラートのWPCS21069。1984年から85年にかけての録音。タワーレコードのインターネット・ショップでも取り扱っている。1,050円。
 ロスはD.スカルラッティのソナタの全曲録音を果たしている(CD34枚)。この抜粋盤はその全曲録音からとられたものだ。

 なお、ロスは1989年に、不治の病で38歳で亡くなってしまった。
 残念である。