モーツァルトのクラリネット協奏曲イ長調K.622(1791)。
この曲はモーツァルトの親友で、同じフリーメイソンのメンバーであったアントン・シュタードラー(1753-1812)のために書かれたが、このクラリネットの名手のために、モーツァルトはクラリネット五重奏曲(イ長調K.581)も残している。
また、シュタードラーはバセットホルンも演奏したが、そのためかモーツァルトの作品には、バッセトホルン用の作品や、編成にバセットホルンを必要とするものもある。
完成したのは死の直前の1791年10月。
なぜ、死を目前にしてこのような作品が書けるのだろう。
おそろしいほどの優しさ、美しさ、穏やかさ……
彼は音楽のためになら、自分の苦悩を忘れることができたのだろうか?
この曲を耳にして、胸が締めつけられるような想いをしない人が、果たしているのだろうか?(いるんだろうけど。それも意外とたくさん)
この作品を聴くと、ハロルド・ショーンバーグが書いた文を思い出す。
「モーツァルトの音楽は初めは易しく聴こえるが、 耳を傾けるにつれ難しくなる。易しく聴こえるのは上品で、メロディーが果てなくしなく、構成が明確かつ完全だからである。それが難しくなるのは、深みや繊細さ、情熱を含んでいるからである。6歳で作曲を始め、僅か36歳で生涯を閉じた作曲家について『開花が遅い』と言えば、奇妙に聞こえるだろうが、事実はそうだった」(「大作曲家の生涯」、共同通信社)。
私が愛聴しているのはストルツマンの独奏&指揮、イギリス室内管弦楽団による1990年の録音のCD。RCA-BVCC37214。タワーレコードでの扱いは見つけられなかったが、新星堂では在庫あり。1,700円。カップリング曲は、ストルツマンの独奏、東京クワルテットによる、クラリネット五重奏曲。
この曲を完成した1ヵ月半後、モーツァルトは亡くなった。
「葬式は最低の予算で行われ、遺体は、伝説が伝える貧民墓地ではなく、聖マルクス霊園の共同墓地に葬られた。従って今日、彼の遺体がどこにあるかを知る者は誰もいない」(同)
新館入口(2014.6.22~)
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