スティーヴンスンの「宝島」。光文社古典新訳文庫。村ffd57b24.jpg 上博基・訳。

 「宝島」は昔々、まだ私が四頭身ぐらいの頃に、絵本か何かで読み知ったような気がしていたのだが、それはまさしく気のせいだった。初めて知った物語であった。

 新訳ということだが、このシリーズの他の本に比べ本書の訳も同じように解りやすいかというと、ちょっと解りにくいところがある。
 しかしそれは訳の問題というよりも、原典の文によるところだろう。
 たとえば、島の中での移動過程でも、いまどこにいるのかわかりにくい箇所がたくさんある。極めつきは、訳者があとがきでも書いているように、北と南がごちゃまぜになっている最後の部分である。

 それはともかく、大人の私(たぶん)が読んでもとてもスリリングさを楽しめた。次にどうなるのか、途中で読書を中断し本を置くのが惜しく感じたくらいだ。

 そして、主人公の少年は、近くにいたら扱いにくいやつだろうな、と感じた。