ベルリオーズの宗教的三部劇「キリストの幼時」Op.25(1854年全曲初演)。
この曲はその名のとおり、宗教的な題材による三部構成の作品だが、劇とはいえ動きはないので実質はオラトリオである(オラトリオとは日本語で聖譚曲といい、宗教的な性格を持った長い歌詞による楽曲のことである)。
題材は「マタイによる福音書」第2章のヘロデ王の幼児大虐殺と聖家族のエジプトへの避難だが、ベルリオーズ自身によって作詞されている。
「キリストの幼時」はベルリオーズの多くの作品とは異なり、誇張のない素朴な音楽となっており、オーケストラの編成も2管を基本としている。
作曲は1850年から始められが、それはこの年に書かれた合唱曲「聖家族への羊飼いたちの別れ」が発端となっている。この作品が成功したため、ベルリオーズはさらに三部劇に拡大し、1854年に完成したのであった。
各部は、第1部「ヘロデ王の夢」、第2部「エジプトへの避難」、第3部「サイスへの到着」で全部で11曲から成る。1850年に書かれた「聖家族への羊飼いたちの別れ」は第2部の第2曲である。
ここで私が紹介したいのは、第3部にある「2本のフルートとハープのためのトリオ」である。
これは劇の筋としては、疲れ果てた聖家族たちを家 父がいたわったあとに、若いイスラエル人たちが奏でるもの。 清澄で素朴な美しい音楽。心が安らぐわぁ~
このトリオのあと、「このようにして一人の異教徒により、イエスは救われた」という歌が続き曲は終わりを迎えてゆく。
このトリオは、全曲中ここだけでも聴いておきたい部分である。有名でない名曲である。
フルートの独奏曲、あるいはフルートが中心になった室内楽曲っていうのは案外と少ない(それは他の管楽器も事情は同じようなものなのだろうけど)。
そのような恵まれない環境の中、この曲はフルーティスト(卵を含む)にはとっても良いレパートリーになるのではないだろうか?(私が言うまでもなく「そんなこと知ってるよ」と言われそうだが)
私が持っているCD(全曲盤)はクリュイタンス指揮パリ音楽院oのもの(EMI 5 68586 2。現在は廃盤のよう)。なお、現在タワーレコードではC.ディヴィス盤やミュンシュの盤などの全曲盤のほか、名曲集に収められたものも扱っている。
プロフィール
MUUSAN
クラシック音楽、バラ、そして60歳代の平凡ながらもちょっぴり刺激的な日々について、「読後充実度 84ppm のお話」と「新・読後充実度 84ppm のお話」の2つのサイトで北海道江別市から発信している日記的ブログ。どの記事も内容の薄さと乏しさという点ではひそかな自信あり。
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