“クリスチーヌの性愛記”という映画がある。1970年のアメ リカ映画。主演はジャクリーン・ビセットである。DVDには「“70年代最高の美女”ジャクリーン・ビセット本格初主演作」と書かれている。
ストーリーは、《カナダの田舎町に住む女子大生のクリスチーヌは大都会の生活にあこがれ、恋人のいるロスへと押しかけた。しかし、田舎と変わらぬ地味で退屈な生活に飽きてしまった彼女は、恋人を捨てラスベガスでショーガールとして生活するようになる。そんなある日、元フットボール選手で支配人のトミーと出会い、その優しさと誠実さに打たれ電撃結婚。幸せな日々は永遠に続くものだと思っていたクリスチーヌだったが、美しい彼女を手に入れようと画策する業界の大物デッカーに呼び出されてしまう……》というもの。
《“70年代最高の美女”と謳われる彼女が、激しいラブ・シーンの数々に挑戦した幻の本格初主演作》とも書かれている。
私は映画にはまったく詳しくないが、ジャクリーン・ビセットは綺麗だと思っていた。大学生のときに、たまたまテレビの深夜放送でこの映画が流れていて、それこそ「激しいラブ・シーン」に鼻血警報がでたものだ。あの頃、私はJ.ビセットやジェーン・フォンダの顔が好きだった。日本人では市毛良枝や新藤恵美や大空真弓が好きだった。今思えば、一般的な若者の道を外していたような気がする。
そんな思い出の映画のDVDがタワーレコードのネット通販にあったので買ってみた。
観てみた。
なんということでしょう!全然激しくない。
実際、せいぜいキス・シーンがあるくらいだ。
バス・ルームの曇りガラスごしに映ってるキス・シーンはちょっと色っぽいが、でもちょっとである。私はなんであんなにときめいてしまったのだろう。
その後の映画「シークレット」で、彼女の激しい濡れ場を見てしまったからだろうか?
それに、ジャクリーン・ビセットはひどく田舎臭い。
こういうのって、がっかり。
青春を取り戻そうとしたのに……
小学校や中学のときのあこがれの女の子が、えらいオバサンになってしまったときの衝撃って、こんなものなのだろう(同窓会に出たことがないので、実際のところは解らない)。
しかも、ストーリーがひっどくつまらない。大いなる二流!
あぁ、欲望への高い代償……
男ってむなしい……(または、私ってむなしい) ところで、村上春樹が
「村上朝日堂 はいほー!」(新潮文庫)の中で、映画の邦題について書いている。
《たとえば“It Happend in Brooklyn”が『下町天国』になったり、“Reckless”が『無軌道行進曲』になったり、“Royal Wedding”が『恋愛準決勝戦』になったりで、こういうのはとても楽しい》
ってな風に書いている。
この「クリスチーヌの性愛記」の原題は“The Grasshopper”である。これはイナゴとかキリギリスとかのことだ(写真にあるようにDVDには「蝶のように舞う女」ってキャッチが書いているけど)。
となると、この邦題、「男を渡り歩くクリスチーヌという女」という点では、あまりにストレートすぎるかも知れない。「イナゴになった女」なんてどうだろう?はい、却下!
若い頃にそのラブ・シーンでときめいた映画はほかにもある。この「クリスチーヌの性愛記」を含め、最近何枚か購入したが、いずれも「ときめき」という面では、すべて「ちぇっ!」ってぐあいである。
その「私のはかない擬似性愛記」については、またの機会に触れることにする。
こんなふうに、もう物足りなくなった私は、すっかり「すれて」しまったのでしょうか?いや、成熟ととらえることにしよう。
新館入口(2014.6.22~)
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