O.レスピーギ(1879-1936・イタリア)の「リュートのため29230b1d.jpg の古風な舞曲とアリア」。
 第1集から第3集まであるが、特に有名なのは第3集。その中でも第3曲の「シシリアーナ」は突出して耳にする機会が多い(掲載楽譜。なお、この楽譜は音楽之友社刊のもの)。
 数年前に、この曲の“原曲”が、パスタだったかパスタ・ソースだったかのCFで使われていたが(ギターによる演奏)、私はそれを機に、パスタを食するときにはこの曲をかけるようにしたいと願っている。が、実行できないままでいる。

 3集から成るこの作品だが、第1集は1917年に書かれた。素材は16世紀のイタリアのリュート曲で、それを編曲したものである。
 第2集は16から17世紀のイタリア、フランスのリュート曲を編曲したもので、書かれたのは1923年である。
 第3集も16~17世紀のリュート曲を編曲したもので、1931年の作。第1~2集が管弦楽(チェンバロを含む)のために書かれているのに対し、第3集は弦楽合奏のための作品である。各作品とも4つの楽章から成る。

 レスピーギは多くの編曲作品を多く残したが、サンタ・チェチーリア音楽院に勤めるようになってからその傾向が強まったという。ここには楽譜蔵書が豊富にあったからである。「リュートのための古風な舞曲とアリア」もここの蔵書を参照して書かれた(音楽学者O.キレゾッティが奏法譜を五線記譜になおした「音楽集」(1890頃出版)を参照した)。

 第3番の有名な「シシリアーナ」の原曲となっている作品は作者不詳であるが、同じものがJ.ロドリーゴの「ある貴紳のための幻想曲」のなかでも取り入れられている。

 興味はないと思うが、私はトマトソースのパスタが大好きである。
 特に圧倒的に群を抜いて他を寄せつけないくらいダントツで泣く子も黙るくらい好きなのが、スパゲティ・ボロネーゼである。まあ、ミートソースってことだ。
 どんなときでもスパゲティ・ボロネーゼがあれば幸せである(二日酔いのときを除く)。

7339cf76.jpg  話は中国に飛ぶが、今回北京で泊まったホテルにはルームサービスがあった。
 写真は部屋にあったメニューである。
 日本を離れ、日本食が恋しくなっていた私の目に飛び込んできたのは、「イタリア肉の味噌ラーメン」という文字だった。イタリア肉というのがまったく意味不明ではあるが、味噌ラーメンを食べることができるのだ!日本を離れて早8時間。ラーメンが食べたい!中国語では「意大利肉醤面」とある。
 それにしてもイタリア肉って何だ?
 心を落ち着かせてもう一度メニューを見る。
 すると「Spaghetti bolognaise」と書かれているではないか!
 スパゲッティ・ボロネーゼが「イタリア肉の味噌ラーメン」かよ……。やれやれ……
 ひとつだけ褒めるとすれば、40元は安い!

 同じメニューには「ハムチーズサンドイッチ」ってのもあるが、この英名もなんとなく正しくないような気がする。黒森林ケーキにいたっては想像もできん。
 もちろんルームサービスを頼むことは喜んで中止した。

 ということで、パスタの話題から、わざとらしくレスピーギc08ee46d.jpg の作品に話は戻る。
 私がお薦めするCDはクラウディオ・シモーネ指揮イ・ソリスティ・ヴェネティの演奏。しっとり感が実にいい。これなら赤ちゃんのお尻を荒らすことがないと思われるくらい、優雅で謙虚でそれでいて押さえるべき所はきちんと押さえている(何が押さえるべきところなのかについて、私は長年考えているが結論は出ていない)。弱音もじつにきれい。
 ただし、このCDには第2集は含まれていない。代わりに、というわけではないが、組曲「鳥」と「ボッティチェルリの3枚の絵」(この曲は実にすばらしい曲である!)が収められている。CDはエラートのWPCS10339。1987年録音。でも現在は廃盤。再発売を待ちましょう(ちなみにエラート盤(輸入盤)の番号は4509 92187-2)。

 なお、翌日の夜、飲み直しでホテル1Fにあるレストランに入ってみた。
 そこには「ミートソース・スパゲティ」っていうのがあった(たぶんルーム・サービスではここと同じものが運ばれてくるに違いない)。
 北京ダックで腹がいっぱいで、おまけにガーガー鳴きそうになっていたが、勇気を奮ってオーダーしてみた。
 異様にオレンジ色が鮮やかなミートソースだった。麺はゆですぎだった。スパ王に軍配を上げたい。でも、そこそこ味わえた。

 感動だ
 味はともかく
 北京でスパ