ちょっといただけないショスタコーヴィチのCDについて。
中国に滞在している間は、昼食も夕食も中華料理であった。
朝食はホテルのスモーガスボード、つまりバイキング形式であったが、私は“焼きたてには見えない”パンを避け、中華を食べた(というか、出し巻き玉子とか塩辛とかといった和食はない。他に選択肢はなかったのである)。
余談だが、スモーガスボードというのはスウェーデンの食事方式で、並べられた各種料理がのった皿から自分の好きな料理を取って食べるものである。こう書くと厄介かつ小難しいが、だから繰り返すがバイキングである。
以前、スウェーデンの研修生がわが社に来たとき、北海道内を案内して回りながら、十勝川温泉に泊まったことがある(彼らについては、ラフマニノフの交響曲第2番について書いたブログの際にも触れてある。悪意なく浴衣を盗み去ろうとした人々である)。
朝食のときに私はカッコつけて「バイキング!」と教えてやったら、彼らは「何で海賊なんだ?スモーガスボードじゃないか!」と言った(雰囲気的に)。
ということで、スモーガスボードである。
中国で泊まったホテルの朝食は6:30からだったが、案の定いい加減で、6:30になっても、出てきていない料理がたくさんある。中華粥を食べようかと思ったが、その鍋が出てきたのは7時近くになってからである。卵焼きはオーダーを受けて一人分ずつ焼いていたが、ちんたらちんたら1回1回焼くため極めて遅い上に、横入りをするマナーの悪い宿泊客のせいで、自分の番まで全然まわってこない。
まったく中国はマナーが悪い、と思いきや、その宿泊客というのはほとんどが日本人である。やれやれ。
そんなわけで、私は硬く炊き上がったご飯に、丸美屋の麻婆豆腐の素・甘口よりも、さらに刺激のない、しまりのない味の麻婆豆腐という朝食をとった。朝から麻婆、う~んCHAINA!
しまりがないといえば、ナクソスから出ているショスタコー ヴィチの交響曲第6/12番の演奏は、パッキンが古くなった水道蛇口のようにしまりがない。
指揮はスロヴァーク、オーケストラはスロヴァキア放送響なのだが、いったいどうしたんだ、というものである(NAXOS 8.550626。現在は分売しておらず、第1~4、6、7、12、15番の5枚組。規格番号は8.505017。タワーレコードのネット通販で5,990円)。
まず何よりかにより、オケの音に全然厚みがない。弦楽群は各パート数人じゃないかと思うほどだ。もしきちんと人数がそろっているとしたなら、それは小人のオーケストラに違いない。最初に聴いたとき、ウチの再生装置がいかれたのかと思ったほどだ。スピーカーコードが一部ショートしているような音だ。演奏そのものも隙間だらけ。テンポもだらけている。これは全然推薦しないCDだ。ちなみに録音は6番が1988年、12番が89年。
ナクソスがこの世に出始めたとき、廉価盤ながら優れた録音、演奏、珍しいレパートリーで、大手レコード会社を追い上げていった。確かにそのとおりの出来、内容であった。無名の演奏家でも名演があるということを紹介してくれた。
でも、それだからこそ、このショスタコにはがっかりしてしまった。それ以降、私はナクソス盤を買うことをちょっと躊躇するようになってしまった。私の知る限りでは、ショスタコ以外のディスクでは大丈夫そうだけど。
ショスタコの交響曲の廉価盤なら、その後、ブリリアント・クラシックスでバルシャイ指揮のが出たから、そっちを選ぶのが妥当だろう。このナクソス盤に手を出すことはなくなったと思う。
で、再び中国でのお食事での話。
義務的な朝食はともかくとして、昼食、夕食はどれも美味しかった。
でも、着いた日の夕食はいま一つであった。
中国で最初に食べる食事がいちばんNonだったことは、そのときは先が思いやられる感じがしたものの、悪いものを先に済ましてしまったのだから結果的にはよかった。
その最初の店は「隆博広場」という店。隆博くんたちが集っている広場ではない。
広いホールにテーブルとイスが数多く並べられており、 案外窮屈。この店はJCBの中国版のガイドブックの地図にも載っている。
お酒を頼むときにJCBカードは使えるかと確認し、OKと言われたのに、いざ会計の段になると現金じゃなきゃだめだという。どうもカードで精算するのを面倒くさがっているようで、何とも失礼な店だった。
私たちが頼んでおいたコースはデラックスコースで日本円で1人5,000円(これは旅行代金に含まれている)。
事前にもらっていたメニューによると、
前菜4品、百合の根とエビの炒め、牛スペアリブのコショウ焼き、豆腐と海鮮の煮込み、スズキの鉄板焼き、豚ひれ肉のレモン汁入り焼き、餅入り鶏肉炒め、旬の野菜炒め、キノコの炒め、揚州チャーハン、フルーツ盛り合わせ、である。
はて、でも振り返ってみると、記憶にあるのは前菜と、エビの炒めと、豆腐の煮込みと、スズキと、野菜炒めとチャーハンとフルーツだけである。他にも出てはいたが、レモン汁の豚肉やスペアリブの記憶がまったくない。写真には写っているようないないような……
なにより、スズキの鉄板焼きっていうのが、要は焼き魚で、かなりかさついていて、ちょっと食べる気にはならなかった。前菜に出た魚(写真に写っているシメサバみたいな姿のもの)も、生じゃないけどもしかしたら当たるのではと皆が警戒。チャーハンはコーンなんかが混じった、日本の田舎の山村のばあさんが作るような味気ないものだった。これで5,000円は高いんじゃないかな?
フルーツの盛り合わせっていうのはスイカ。どの店でもフルーツはスイカだった。
ここは旅行コースの定番の一店のようだが、私としては「隆博広場」はあまり良いとはいえないと思う。
この店に行く途中、バスの車窓から「松子」という日本料理店が見えた。
松子……
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