ベルリオーズ(1803-1869)の序曲「ローマの謝肉祭」Op.9(1843)。

 前回までのあらすじは、中国のホテルのルームサービス・メニューに記載されていた「イタリア肉の味噌ラーメン」。これが実は「スパゲティ・ボロネーゼ」だったことから、かつてパスタのCFに使われていたレスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア」に話は広がり、さらに同じレスピーギの「ローマの松」に話が展開された、という悲劇であった。
 ええい、ローマついでだと、今回は「ローマの謝肉祭」を取り上げる、この見事なまでの強引さ。

 「あなたって強引ね」
 「強引な男は嫌いかい?」
 「ううん……」
 「ふふっ、じゃあ次は『ローマの祭』にしようか?」
 「えぇ……」
 あぁ、ばからし。

 北京での2日目の夕食は、全聚徳(ぜんしゅうとく)という北京ダック店の方荘店というところでとった。全聚徳は有名な北京ダック店のようだが、方荘店は直営店舗ではないようだ。

c7a5d743.jpg  ところで夕食前に近くのイトーヨカードーに立ち寄ってみた。
 北京市内には2社のヨーカドーがある。
 1つは華糖洋華堂商業有限公司(日本語名は華糖ヨーカ堂有限会社)で、店舗数は7。もう1つは北京王府井洋華堂商業有限公司(日本語名は王府井ヨーカ堂有限会社)で、店舗数は2である。

 私たちが立ち寄ったのは王府井洋華堂の方の頸松(じんそん)店。こちらの会社はマークの色が赤と緑である。日本のヨークベニマルと同じだ。
 売り場にはインスタント麺やレトルト食品が豊富で驚いた。
 あと、ビールが安い。現地生産のアサヒ・スーパードライの350ml缶が4.5元(約77円)でる。日本から輸入したエビスビールもあったが、こちらは13.5元(約230円)だから日本とほぼ同じである。
 私はまるで観光客のように(観光客だけど)、現地のポッキーを喜び勇んで買った。
 会計のとき、レジのお姉ちゃんが「▼#@■&○ニョエェェ」と何度も私に言う。どう控えめに考えても「素敵な方ですね。サイン下さい」とは言っていないようだ。
 私は「What?」と聞き返したが、その姉ちゃんは相変わらず「▼#@■&○ニョエェェ」と繰り返すだけだ(2回目は▼#@■&○ニョイィィ」だったかも知れない)。
 そうこうしていると、後ろに並んでいたいかにも意地悪そうなおばさんが、レジ嬢に何か言い、私は「もう行け!」とばかりに解放された。

 あとから聞いたところによると、「レジ袋はいるか?」ということだったようだ。オリンピックが始まる少し前に、レジ袋の有料化がなされたらしい(1枚いくらかは知らない)。それにしても、中国の人たちは英単語すら発しようとしない。知らないのかも知れないし、自国語に頑ななのかも知れない。
 ヨーカードーの惣菜売場では、おにぎりやいなり寿司まで売っていた。ちょっと興味深かったが、アヒルのために我慢した。

 全聚徳方荘店の料理は美味しかった。店員の教育も行da718f27.jpg き届いている感じがした。日本語が上手なやり手っぽいおばさんもいた(チーフらしい)。
 店内は3フロアで、各階もかなり広い。毎晩何百羽のダックがここで人間様の胃袋に収まるのね……ガァーガァー。

 コースのメニューは、アヒルホルモンの醤油煮物、魚の豆ソース和え物、野菜の和え物、豆腐の醤油煮込み、アヒル胸肉の炒め、アヒル心臓とピーマン炒め、豌豆とアヒル肉の角切り炒め、甘栗と白菜の炒め、豚肉とニンジン、木耳の千切り炒め、油麦菜の炒め、北京ダック(葱、ソース、荷葉餅)、玉子チャーハン、アヒルのスープ、フルーツ
 いやはや、アヒルだらけ。まさにアヒルのカーニバル。

 日本で北京ダックといえば、今回のメニューのアンダーラインを引いたものを指すし、しかも46f73c05.jpg 皮だけを巻いて食べる。ところが、こちらは皮に肉もついたいるものを巻く。これが逆に脂っこくなくて良い。日本のはちょっとくどいもん、私みたいに……

 そして、メニューにあるように、ほかの肉もきちんといろんな料理に使っている。

 私は内臓系料理は不得意とするが、ホルモンの煮物なんてどれがホルモンか注意をしないまま食べちゃった。心臓はパスしたが……。
 どれだかはっきりしないが、カレー味の一品があった。これなんか、チャーハンと一緒に食べると、ダックのスゥプカリーって感じで美味しかった。
 いわゆる「北京ダック」も、皮だけではなく肉がついている。
 アヒルの謝肉祭ですっかり満足(って、ホテルに戻ってからラウンジで「イタリア肉の味噌ラーメンを食べちゃったけど)。よいお店でした。

 さて、肝心の(←どこが?)「ローマの謝肉祭」のことであるが、この序曲はもともと、歌劇「ベンヴェヌート・チェッリーニ」Op.23(1838初演)の第2幕の序曲として書かれた作品である。その後管弦楽作品として独立し、「ローマの謝肉祭」(Le Carnaval Romain)と呼ばれるようになった。
 この曲、ストレス発散にはもってこいだ。私には。
 曲にあわせてタンバリンを叩くのだ。
 強く叩きすごて、手から血が出ていたこともあったし、dde9dcbb.jpg タンバリンの皮が破れたこともある。
 その場を盗み見た人は、私が狂乱宗教に入信したと思ったに違いない。
 でも、お試しあれ、病み付きになるから。

 有名曲だから名演盤も多いが、ここではベルリオーズ指揮者として私が敬愛する、コリン・デイヴィス盤を紹介しておく。オーケストラはロンドン交響楽団。

 しつこいようだが、一家に一個、タンバリンの備えがあると安心である。トライアングルもあると鬼に金棒である。