子供ぽかった浅田真央も、いまやすっかりお嬢さん。
なんて書くと、スケベ親父のスケベ独白のように聞こえるが、私の狙いはそんなもんじゃない。じゃなかった、私が言いたいのはそういう方面のことではない。
いま浅田真央が演技で使っている音楽のことである。
アナウンサーは「仮面舞踏会」と当たり前のように言っているが、本当に当たり前のように知っているのだろうか?
という私は、実はちゃんと浅田真央の演技の放送を観ているわけじゃないので、それまた偉そうなことは言えないけど……
独立した音楽作品で「仮面舞踏会」という名がついているものは、私が知っている限り7曲ある(すべて聴いたことがあるかというと、答えはNon!である)。
列記してみると、
・ ヴェルディ(1813-1901)の歌劇「仮面舞踏会」(1859初演)
・ グラズノフ(1865-1936)の付随音楽「仮面舞踏会」(1913)
・ ニールセン(1865-1931)の歌劇「仮面舞踏会」(1906初演)
・ パーシケッティ(1915-87)の「仮面舞踏会」Op.102(1965)(吹奏楽曲)
・ ハチャトゥリアン(1903-78)の付随音楽「仮面舞踏会」(1941)
・ ハルヴォルセン(1864-1935)の付随音楽「仮面舞踏会」(1922初演)
・ プーランク(1899-1963)の世俗カンタータ「仮面舞踏会」(1932)
である。
だから、「浅田真央が舞う『仮面舞踏会』」というアナウンスは、けっこう不親切である。別に音楽番組じゃないんだからいいじゃないかと言われれば、「はい、それまでよ!」であるが。
それでもって、浅田真央が使っているのはハチャトゥリ アンの「仮面舞踏会」である。
この作品については昨年11月10日の当ブログで詳しく書いているのでここではしつこく書かないが(しつこい人は嫌われるようだから)、この曲は劇付随音楽として書かれたが、現在は5曲から成る組曲として聴くことができる。
昔、私がクラシックを聴き始めた35年前には、一応は「管弦楽の名曲」に入っていたが、時代とともに忘れられていった作品の一つだ(といっても、ディスクはコンドラシン盤くらいしか出ていなかった)。
こんなにいい曲なのに、と思っていたら、何をとち狂ったのか(失礼!)、浅田真央が使ってくれたので、これで一気に名曲に返り咲き(してほしいものだ)。荒川静香のときには「誰も寝てはならぬ」が流行ったから、ハチャトゥリアン先生が「剣の舞」以外でも知られるチャンスが訪れたといってよい。
現在もCDの種類は多いとは言えないが、それでも増えた。
ちょっぴりほの暗いが、それがまた演歌好きの日本人の魂にしっくりいくような気がする。
実際、浅田真央が使っているのは第1曲のワルツだが(ほかの部分も使っているのかも知れないが、私は通して演技を観たことがありませんのです)、なんとも陰鬱なワルツが快感でしょ?その出だしの部分のスコアを載せておきますの、ブンッ、チャッチャッ!(スコアは全音楽譜出版社から組曲版が出ている)。
演奏はというと、やはり古いものの不動の地位、という感じでコンドラシン盤がいちばんに思うが、それは去年紹介したので今回は作曲者自身がモスクワ放送交響楽団を振ったものを。1969年の録音でコンドラシン盤の録音時期よりは新しいが、やっぱり音が強くなったときの濁りはある。しかし、作曲者はこういう演奏を考えていたんだということを知るにはいい(思ったとおり表現できているかどうかの確証はないが)。
Russian DiskのRD CD 11 005(輸入盤)。
カップリングとしてガウクがモスクワ放送響を振った、同じくハチャトゥリアンの交響曲第1番が収められている。
新館入口(2014.6.22~)
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