8c436a16.jpg  またフィギュアで使われていた音楽の話。
 安藤美姫が使っていたのはサン=サーンス(1835-1921)の交響曲第3番ハ短調Op.78である。あだ名は「オルガン付き」。まるで、おまけにオルガンが付いてきそうな名前である。

 この曲は2つの楽章からできているが、各楽章がさらに2つの部分に分かれているため、実質は4楽章構成と同じようになっている。
 主に安藤美姫が演技で使っていたのは第1楽章の前半。
 悪の手下が忍び寄って来るときのテーマのような音楽で、華やかなフィギュアには何となくそぐわない気もする。しかし、この旋律が交響曲全体を支配・統一しており、安藤も演技の終りにはこの曲のフィナーレを使っていた(「名曲アルバム」も9466ad2e.jpg 絶句するような強引なカット&ペースト)。もっとも、それが同じ旋律をもとにしているなんて、ミキちゃんは気づいていないだろうけど。

 この曲の名盤としては、ミュンシュ/ボストン響のものが有名(1959録音。写真上)。
 私もLP時代から、「サン=サーンスの第3」=「ミュンシュ」で親しんできた。いまでも、やっぱ名演だねぇ、とまる子みたいにつぶやいてしまうが、当時の録音ではこの曲をとらえるのはかなり苦しかったらしく、重厚な響きに聴こえるのは実は少なからず歪みだったりする。<

 私がLPからCDに移行したとき、最初に買ったCDもこの曲であった。オーマンディ/フィラデルフィア管のもの(1980録音。写真中)。「CDはすご f0a4f34a.jpg いんだぞ」的音響であるが、どうにも感動のようなものが心に響いて来ない。オーマンディっぽいといえば、そうだけど↓。

 いま、私がいちばんいいかな、って思っているのはチョン・ミュンフン/パリ・バスティーユ管のもの。1991年録音。グラモフォンのUCCG9453(写真下)。

 ところで、私は何回かこの曲を生で聴いているが、実際にパイプ・オルガンを使った演奏を聴いたことがない(電子オルガン使用)。来月の札響定期では、初めてパイプ・オルガンでの演奏を聴くことができる。楽しみぃ~。
 電子オルガン使用といっても、過去に聴いたものもなかなかよかった。カラヤンみたいなことするくらいなら、電子オルガンのほうがずっとずっと正統的。

 カラヤンがレコーディングでオルガンだけ別どりしたっていうのは有名な話だけど、ラーメン屋のラーメンとインスタント・ラーメンが似て非なるものであるように、いくらCDとはいえ、それはもはや「交響曲第3番」ではないような気がする。