ヴィトルド・ルトスワフスキ(1913-1994)の「管弦楽のための協奏曲」(1950-54)。
「管弦楽のための協奏曲」という名を目にすると(耳にしても同じ)、すぐさま思い浮かぶのはバルトークの超傑作であるが、ルストワフスキはよりによってなんで同じ名前を付けたんだろうかと思ってしまう。
バルトークへの挑戦?
単に曲目を考えるのが面倒だった?
まあ、どっちでもいいや。ここで考えたってわかりゃあしないんだから。
ルトスワフスキは第2次大戦後のポーランドの作曲界における中心的存在だった人だ。バルトークの影響(ほぅら、出てきた)による民族主義的作風から出発したが、その後12音技法を取り入れたり、さらには前衛技法へと進んだが、調性的響きも併せ持つのが特徴である。
ポーランドは戦後、占領下に置かれたが、戦時中から占領時には民族的なものが禁止された。その反動で、ルトスワフスキは民族的表現を求めたのだった。しかし、1950年代に入ると民族主義的な作風に別れを告げたが、その時代の代表作が「管弦楽のための協奏曲」である。この作品ではポーランド民謡が取り入れられているが、それは単なる素材としてである。
その後、彼は前衛技法(不確定性の導入)へと進むが、作曲家自身、「管弦楽のための協奏曲」を最重要作品としている。
曲は3つの楽章から成る。
第1楽章「序曲」は、音が層的に発展する。
第2楽章「夜のカプリッチョとアリオーソ」は、3つの部分から成るスケルツォ風の楽章。
第3楽章「パッサカリア、トッカータ、コラール」は圧巻の終楽章。素材の断片が次第に形づくられていき、最後はすばらしいクライマックスが構築される。
この作品では、ルトスワフスキの前衛に突入する前の魅力を、思う存分味わうことができるのだ。
私はバレンボイムがシカゴ響を1992年に振ったライヴ盤を持っているが(エラート 4509 91711-2。輸入盤)、この演奏はそつがないものの、あまり迫ってくるものがない。バレンボイムには申し訳ないが、ほかのCDを聴いた方がよい。
実は私は、札幌交響楽団が1995年2月の第366回定期で大野和士の棒でこの曲を演奏したものを気に入って長い間聴いていたのだ(会場でも聴いたが、それがAir-G=FM北海道で放送された)。
バレンボイムって、どうも私とは相性が良くないようだ。
別にいーけど……
新館入口(2014.6.22~)
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