ba017407.jpg  昨日、福岡空港から羽田乗継で札幌に戻ってきた。
 予定より早い便に繰り上げることができ、午後8時前に家に着いたが、それでも疲れた。

 家に着くと、さっそく妻が“お義母さん”から、よく意味のわからない電話があったという、耳にしたくない報告を受ける。報告というか、彼女にとっては憂さ晴らし。私にとっても不要な情報。憂さのリレー、って感じである。

 義母、つまり私の実母は、実に気の強い性格であり、相当一般常識離れしている。一般常識離れしているが、気が強いので他人の意見を聞き入れない。ということは、歳とともに成長することがないという、典型的負のスパイラル人間である。
 かつて、自分たちの老後について私たちに、「絶対めんどうをかけない」と豪語していたが、父の病状が悪化していくにしたがって、電話がかかってくる頻度が高まったのだ。
 しかも、その内容というのは、「自分はおじいちゃん(義父)が入院しているとき、下の世話までした」「あなた(妻のこと)は働いていて忙しそうで、たいそう偉いわね」といった嫌味である。
 典型的ないびりであるが、私も母のことはすっかり嫌悪しているので、無視するしかないと思っている。
 ただ、実際に電話にでる妻にとっては確かに大いなるストレスになるのも十分にわかる。
 けど、私にまでその嫌な思いを拡散しないでくれ、というのも正直な気持ちである。

 福岡は驚くほど暖かではなかったが、それでもすっかり春であった。
 公園の生垣には心をほっとさせてくれるような、新芽が輝いていた。

 こちらも早く雪が融けてほしい。

 話が飛んでというか、戻ってというか、とにかく流れていないが、昨日福岡空港で、以前仕事でたいへんお世話になった、某食品会社の部長と会った。5年ぶりくらいである。彼は東京の人、そして私は北海道の人。東京と北海道の福岡における奇跡的な再開である。
 しかも、会った場所というのが、空港のトイレの中。もちろん個室の中で出会ったのではないが、私は用を足し終えたとき、彼が用を足しに来たのであった。あぁ、地域を越えた排尿のリレー!
 場所が場所だけにゆっくりと話は出来なかったが、元気そうであった。

aab312aa.jpg  福岡→羽田便はほぼ満席。久々に両側を挟まれた中央席に座るハメになったが、これは苦痛だった。

 乗り継ぎの羽田空港内の丸善で本を買う。
 今回、小説を持ってきていて、それは読みかけだったのだが、内容に疲れたので軽いものをと新書を買った。
 小松潔著「カラヤンと日本人」。日経プレミアムシリーズのなかの1冊。
 昨年夏に出版されたようだが、この本の存在は知らなかった。「日経プレミアムシリーズ」という新書自体、ふだん書店であまり見かけないし……
 そういうものが、空港内の小さな書店にあるのだから恐るべしである。きっと仕入れ担当者が客層を見極め、どのような本が売れるか分析し並べているのだろう。ちなみに、丸善は丸善でも、セキュリティ・チェック後の方の店である(第2ターミナルのシグネット北ピア隣)。

 カラヤン本は少なからず出ており、私もいくつかこのブログで取り上げたが、小松氏のアプローチは他と少し違う。一言で言えば、バランスがとれたスタンスに立っている。
 カラヤンを単に批判するでも、また誉めそやすでもなく、いろいろな証言、文献をもととしてニュートラルにカラヤン像を探っている。読んだ後も、嫌な気分が残らなかった。カラヤンに師事した高関健や山下一史の話が紹介されている点も、指導者としての指揮者カラヤンの姿を伝えてくれている。

 それにしても、良くも悪くも、いまだにこれだけ騒がれる指揮者というところがすごい。