先週の日曜日(15日)、出張から札幌へ戻る際に羽田空港で乗り継ぎした。
羽田空港の書店で購入した本が、小松潔著の「カラヤンと日本人」であることは、すでに書いた(だったら書くな、と言わないで!)。
そのとき、読みかけの文庫本を持っていたのだが、ちょっと頭が疲れたので気分転換に「カラヤン本」を買ったのであった。
では、その読みかけの本とは何か?
マッケンの「白魔(びゃくま)」(南條竹則訳。光文社古典新訳文庫)である。
アーサー・マッケン(1863-1947)は、イギリスの小説家。オカルトの世界に傾倒したという。
本書には、少女が魔女に育っていくという、タイトルにもなっている「白魔」の他に、「生活のかけら」と「翡翠の飾り」から「薔薇園」「妖術」「儀式」が収められている。
難解というものではないが、マッケンの文章はさらさらと流れが良いというものでもなく、私は読みながらしばしば頭を整理しなければならなかった。それはいままでに体験したことが無いような、行間から漂ってくる別世界の雰囲気のせいかもしれない。
「生活のかけら」は、最初のうちは平凡な家庭生活の情景を描いているようなストーリーなのだが、進むにつれて、やはり異常な世界へと入り込んでいく。私は「白魔」よりも「生活のかけら」のほうが楽しめた。
どちらもストーリーを書いてしまうとこれから読もうとする人に迷惑になるだろうから、あまり書かないが……
♪ ところで、クラシック音楽のうち、魔法とか魔術、魔女といったことが題材になっている作品で、最も有名なのなのはデュカス(1865-1935)の「魔法使いの弟子」(1897)であろう。
この作品、交響詩と位置づけられることもあるが、交響詩という語句は曲名にはついていない。実際には、「ゲーテのバラードによるスケルツォ」と副題がついている。
デュカスはドビュッシーと同時期に活躍したフランスの作曲家。残した作品数は少ないが、その中でも特によく知られているのが「魔法使いの弟子」である。
これは、「ある日、魔法使いの弟子が先生の留守に、ほうきに呪文をかけて水汲みをさせた。しかし、未熟な弟子は魔法を解く呪文を忘れてしまい、部屋のなかが水浸しになってしまう。困っているところへ先生が帰ってきて、呪文をかけると、水は一瞬のうちに消えてしまう」というゲーテのバラードを音楽で描いたもの。この点からすれば、交響詩と呼ばれるのもわかる。
それにしても、言っちゃ悪いが、よくこんなストーリーを管弦楽曲にしようと思い立ったものだ。とても色彩的なオーケストレーションが特徴で、良い曲ではあるけれど、このストーリーを初めて読んだときには、ゲーテ様に逆らう気はないものの、笑ってしまった(共感的笑いでなく、くっだらねぇ的笑い)。
私の知らない遠い昔、1940年の話だが、この曲はディズニーのアニメ映画「ファンタジア」で使われ、有名になったという。このアニメ映画ではミッキーマウスが魔法使いの弟子の役を演じたという。
映画の中では、曲にかなりのアレンジが施されていたらしいが……
映画とは全然関係ない話だが、数年前、近所の奥さんが着ていたトレーナーの背中にMickey Mouseではなく、Mickey Mooseとプリントされていたのを目にしたときは、ひっどく笑った(心の中で)。
この曲を聴くときは、たいていの場合、フルネがオランダ放送フィルハーモニー管弦楽団を振った演奏のCDを聴いている。ジョルダンがBasler交響楽団を振ったCDも持っているが、このCD、中心から数ミリひびが入っているので、怖くてかけられないのだ。理由はそれだけ。
私にとっては魔女(「魔法使いの弟子」はミッキーが演じたくらいだから、魔女ではなく男だろうけど)といえば、4~5歳のころ最初に見た「トムとジェリー」の中で魔女が出てくるストーリーがあって、魔女=バアサンという結びつきが、抗原抗体反応みたいに出来上がってしまった。あぁ、若くて美しい魔女がほうきにまたがっている姿を見てみたいわぁん。
新館入口(2014.6.22~)
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