クラシック音楽の作曲家が、純音楽ばかりを書いているとは限らない。
いや、「クラシック音楽の作曲家」という概念自体が、近・現代になってできてきたものであり、昔の作曲家は純音楽だろうが何だろうが、単に「音楽」一本だったのである。
その昔、塔の上から時刻を知らせるために吹かれたペーツェルの金管五重奏による「タワー・ミュージック」は、ペーツェルが特にその音楽のジャンルが何かなんて考えなかっただろう。
ところが、近・現代になると、音楽は多様化した。
従来は「音楽」しかなかったのに「クラシック音楽」というジャンルが生まれ、それとは別のジャンルとして、ジャズやロック、歌謡曲などが生まれた。
もう30年ほど前になるだろうか、何かのCFで「ビートルズもいつかクラシックと呼ばれるのだろうか?」と言っていたが、果たして実際にどうなるか断言はできないものの、たぶん古くなればクラシックという分け方にはならないと思う。
現に昭和初期の歌謡曲は「クラシック音楽」ではなく「懐メロ」と呼ばれているではないか!
クラシックについてだって、本来「クラシック音楽」というのは厳密には「古典派の音楽」であり、その分類からすればバロック音楽やロマン派の音楽などは「クラシカル」ではないのである。
でも、現在は商用音楽以外のものをクラシックというふうに分類しているようだ。だから「現代のクラシック作曲家」なんていう、矛盾した位置づけの作曲家が存在するのである。また、商用音楽以外の曲を書いている作曲家(つまりクラシックの作曲家)が商用音楽を書いた場合(たとえば映画音楽など)、そのCDはクラシック・コーナーに置かれたりもする。
(広義の)クラシック音楽の作曲家であるK.シュトックハウゼン(1928- )が「ティーアクライス(Tierkreis)」(1975)を書いたとき、おそらく作曲者は、自分の作品の中でも異なったジャンルのものとして位置づけたと思われる。割り切っていたかどうかは知らないけど……
というのも、これはオルゴール用に、メーカーから依頼されて書いたものだからだ。実用音楽であり、もしかすると芸術音楽ではないのかも知れないのである(あくまでも作曲経緯からみて分類すると)。「まっ、頼まれたから、小遣い稼ぎにもあるし、チャラァ~と書いてみっか!」と彼が思ったかどうかは知らないけど……
ティーアクライスというのは「十二宮」のこと。つまり12の星座である。
当たり前のことながら、曲は12の小品からなる(全曲で27分ほど)。
第1曲はみずがめ座、以下、うお座、おひつじ座、ふたご座、かに座、しし座、おとめ座、てんびん座、さそり座、いて座、やぎ座と続く。
たぶん、星座ごとのオルゴールが作られることとなり、オルゴール・メーカーはそのためにシュトックハウゼンに作曲を依頼したのだろう。
どーでもよい話だが、私の星座はみずがめ座である。
子供のころはてっきりミズガメ、つまり水亀だとばっかり思っていた。
自分に「やれやれ」。
オルゴール用に書かれたため単旋律であり、前衛バリバリのシュトックハウゼンの作品の中では聴きやすいとも言われるが、そっかぁ~?
けっこう気分が重くならない?
オルゴールから流れるならもっと明るい曲調のものがいいと思うけど、果たしてこれらを使ったオルゴールは売れたのかなぁ?
印象を言ってしまえば、いきなり私の星座で始まるわけだが、「どっか体、悪いんかい?」って感じ。私らしいのか?
つまりは、魚は水瓶に閉じ込められ、牡羊は双子に食われ、双子はカニを踏んでしまってケガをし、獅子は乙女を襲い、その肉は天秤で量られ、サソリは気味悪がれ、ヤギは射られるって様相。
あぁ、おしゃれなんだか、なんだかわからないメロディーだ。
私が持っているCDはACANTAレーベルの43201(1987年録音)。クラリネット、フルート、トランペット、ピアノによる版による演奏。カップリング曲はトランペット・ソロのための「Oberlippentanz」という作品。
♪
昨日は冬囲いを外し、地面の小石や枯れ葉を拾い集めたが、中腰のせいで今日は腰痛に見舞われている。
やれやれ……
イングリッシュ・ローズのパットオースティンは、絶望的に枝が折れていたし……