J.S.バッハ(1685-1750)の「ゴルトベルク変奏曲(アリアと30の変奏曲)ト長調BWV.988」(1741/42)。原題は、Goldberg-Variationen Aria mit verschiedenen Veranderungenで、「さまざまな変奏をもつアリア」ということになる。 この作品は、バッハの弟子であるゴルトベルクが仕えていたカイザーリンク伯爵の依頼によって書かれたが、その依頼というのは伯爵が眠れるように、つまり伯爵を不眠症から救う音楽を、というものであった。
ゴルトベルクが演奏したために「ゴルトベルク変奏曲」の名になっているが、バッハがこの曲を出版した際の名は「クラヴィア練習曲集第4部(Klavierubung,4 teil)」(1742刊)であった。
ちなみに、「クラヴィア練習曲集第1部」(1731刊)は「6つのパルティータBWV.825~830)」、「第2部」(1735刊)は「フランス風序曲ロ短調BWV.831」と「イタリア風協奏曲ヘ長調BWV.971」、「第3部」(1739刊)は「4つのデュエットBWV.802~805」と「前奏曲とフーガ変ホ長調BWV.552」、「教理問答書コラールBWV.669~689」である。
真偽のほどはともかく、眠れるような音楽を、という依頼によって書かれたこの曲を耳にして、はたして伯爵はあくびをしだし、そして眠りに引き込まれていたのだろうか?
この曲を聴いてみると、それほど静かで穏やかではない。
かえって目がさえる、とまでは言わないが、脳神経にはけっこう刺激的である。
磯山雅が書いているように(「J.S.バッハ」(講談社現代新書))、「伯爵は、退屈して眠るためにではなく、貴重な人生のひとときを充実させるためにこの曲を聴いた」のかもしれない。かなり良心的な解釈のようにも思えるけど。
いずれにしろ、最初のアリア(このアリアの旋律はとても有名)が眠りを誘いそうかな、って以外は癒しの要素はない。むしろ、「早く起きてご飯を食べなさい」という、目覚まし音楽的だ。
曲は両端にアリアを置き、その間に30の変奏曲を並べたもの。
中間に位置する第16変奏はフランス風序曲となっており、そのために全曲が大きく2つに分かれる。3の倍数の変奏はカノンとなっており、また、最後の第30変奏は2つの民謡旋律を組み合わせているという。
ところで私は昼寝が嫌いである。
というか、ほんの30分だけ、1時間だけという眠り方ができなくて、本眠りになってしまうのである。
だから、世間一般的な昼寝の時間分だけ眠ることに成功しても、そのあとはたいそう気分がすぐれない。ふだんから気分がすぐれないのに一層すぐれなくなる。
じゃあ、思う存分寝てみては、となると本当に夜中まで寝てしまう恐れがある。
これは過去の経験による。
だから昼寝はしない。
大学生の時、塗装会社で現場のアルバイトをしたことがあったが、そこの人たちは昼ご飯のあと必ず昼寝をした。暖かい時は外で、そうでないときは車の中などで。
30分ほどだが、私はその習慣にまったくついていけなかった。
高校のときは昼寝をして起きたら、それが何曜日の何時ころかまったく感覚を失って、ひどく焦ったことがある。結局はその当日の夕方だったのだが……
そんなことはいいとして、私はルセの演奏が好きだ。
音は奇麗だし、はじけるようなチェンバロの動きが心地よい。
この間の土曜日の午後なんて、このCDをかけながら思わずウトウトしてしまったほどだ。 クロッカスに次いで我が家の庭に咲いたのはチオノドクサ。
それにしても、まだ土が霜でガチガチのうちからよく花をつける準備ができるものだ!
新館入口(2014.6.22~)
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