いやいや、昨日はハラがたった。
いやいや、夜、一緒にお酒を飲んでいた某氏とケンカしたわけではない。
夕方に携帯にきた電話で、私はプリプリ・プッチンプリンになったのだ。
それは母親からであった。
「んっ?父の容態の急変か?」
そう思ってでると、いきなり「オタクの家の電話、何回かけてもずっと話し中なんだけど、受話器はずれてるんじゃないのっ!」という、サド侯爵もビビるような、詰問調。序奏なしの不明瞭な動機による第1主題の提示である。
この「オタク」という言い方、実に不愉快な響きである。
やれやれ。
「さぁ……」
仕事中の私にそんなことわかるわけがないのだ。
で、彼女は続ける。
「じいちゃん(自分の夫のこと)かなり体力も落ちてるっていうんで、あさって本院の緩和ケア病棟の方に転院するから」
父がかかっている病院は本院と分院に分かれており(寺院みたいだ)、本院は満床。そのために分院に入院しており、放射線照射や検査のときには病院が出すマイクロバスに乗って本院に行っていたのだ。
これは末期がん患者にとっては重労働であるが、まぁ、やむを得ないとしか言いようがない。
「それは、よかったじゃない」
私は答えた。
「そういう言い方しかできないのっ!」
じゃあ、どう言えば良いというのだ?
で、電話は切れた。
全然緊急を要する内容ではない。
救急車をタクシー代わりに呼ぶ非常識な人間に匹敵する。
私は妻の携帯に電話をかけた。
妻は20分間ほど実家と電話で話をしていたそうだ。
まったく、何が「ずっと」「何回も」だ!
母親のために優先的に電話回線を空けておくわけないじゃないか!
そのくせ自分は夕飯どきだろうがなんだろうが、自分の都合にあわせて電話をかけてよこすのだ。
そういうわけでハラが煮えくりかえったわけである。 こういうストレスや怒りの時にスカッとするには、ムソルグスキー(Modest Mussorgsky 1839-1881)の交響詩「禿山の一夜(A Night on the Bare Mountain)」(1881-83)をでっかい音で聴くに限る。それもグングン進んでいくショルティの指揮の演奏で!
「禿山の一夜」(「はげ山の一夜」って書いた方がいいのかなぁ)はリムスキー=コルサコフ(Nikolai Rimsky-Korsakov 1844-1908)によって、ムソルグスキーの死後に編曲・完成したものである。
その原曲は「禿山のヨハネ祭の夜」(1867)であるが、この曲は最終的に、歌劇「ソロチンスクの定期市」(1874-80。未完)の中の「若者の夢」 になったとされている。
1860年頃、ムソルグスキーはメグテンの戯曲「妖婆」に関心をもったが、その戯曲は、伝説よったもので、聖ヨハネ祭の前夜に、キエフの町の近くのある禿山の上に妖怪たちが集まって饗宴を行なう、というものである。
この戯曲に基づいて、ムソルグスキーはオペラを書こうとしたが断念、そのときに書かれた付随音楽が「禿山の一夜」の原曲となった。
楽譜には、《地下に響く不思議な声。闇の精たちの登場、続いて闇の神、チエルノボーグの出現。チエルノボーグに対する頌歌と暗黒ミサ。魔女たちの饗宴。饗宴が頂点に達したところで、遠くの村の教会の鐘の音が鳴り響き、闇の精たちは消え去る。そして夜明け》と書かれている(音楽之友社のスコアの解説(菅野浩和氏による)を引用)。
夜が明けて「不気味な者たち」が消え去るというのは、サン=サーンスの「死の舞踏」も同じである(「死の舞踏」についてはいずれ別項にて書きたいと思っている)。
ショルティ/ロンドン交響楽団の演奏は、はげ頭をパシーンッ!と手のひらで叩いたときのように痛快である(叩いたことないけど)。
録音は1965年だが、音もGood!
掲載した写真は旧盤のもの。
現在は別な作品とのカップリングで販売されている↓。
新館入口(2014.6.22~)
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