やれやれである。

 かねてからやらなくてはならないと思っていた和室の押し入れのふすまの修理に取り組んだ。
 日曜日のことである。
 
 要は、ふすまが完全に閉まらなくなっていたのだ。
 つまりは、何らかの原因で鴨居が下がってきており、ふすまの動きが悪くなったのだ。
 かねてから、と言っても、もう5年以上前からのことだ。
 ただ、湿度などの関係から状況が好転することもあったし、そう急ぐものでもないだろうと思ったので放っておいた。
 しかし、鴨居はゆっくりゆっくりと下がってきていたのだ。そのスピードは鳥取砂丘が狭くなってきているというスピードとどっこいどっこいぐらいだろう。
 いよいよ直すことにした。
 要は一度ふすまをはずしてその上部をカンナで削ればいいのだ。
 私はカンナがけができる。
 中学の技術・家庭の授業でやったことがある。

 中学以来なので緊張が走る。
 中学のときに取りまとめで買わされた「大工道具セット」に入っていたカンナも、久々の作業に駆り出されて緊張しているのがわかる。

 さて、、、、っと。

 まあ、たいへん。
 まずはふすまが敷居からはずれない。
 4枚あるうち、左2枚は絶望的に上にずれない。
 右2枚は少しずれる。
 私は鴨居をウェイトリフティグのように上に押し上げ、その間に妻がふすまをガタガタいじり、なんとか右2枚ははずすことができた。もし、私がはずす係で、私より力がある彼女が鴨居を押し上げる係だったらもっとスムーズに作業が進んだかも知れない。

 はずしたふすまの上部にカンナをかける。
 なかなかおもしろい。
 そしてもとに戻す。
 おぉっ!ふすまがスムーズに動くということがこんなに劇的なことだなんて!
 あたりまえのことがあたりまえにできる喜びぃっ!

 ところがである。
 左側2枚はびくともしない。
 どうしたらいいのだろう。
 夏場になったら少しは湿度の影響で事態は好転するのだろうか。
 それとも、結局はまったくはずれないまま、いつかはふすまを破壊しなくてはならないのだろうか?
 どうしてこう次から次に苦悩の材料が増えるのだろう……

 この日の昼は腹いせにラーメン屋に行った。
 江別市の野幌まで足を延ばした。
 店の名前は「天味(てんまい)」(「天昧」と書くのかと思っていたが、日曜日に見たところ「天味」らしい.昧という字の意味は「夜明け」。味はもちろん「味」)。
 ここに行くのは久しぶりだ。
 3番通を札幌方面から江別市外に向うと左手にある。湯川公園のそばである。
 初めて行ったのは今から10年ほど前で、そうしょっちゅう行くわけではないが(今回はたぶん2年ぶり)、良い店である。

 ラーメンを食べようと思ったが、椅子に座った瞬間に思考はコペルニクス。
 チャーハンを頼んだ。

 これがまた絶品。
 いわゆるラーメン屋のチャーハンという感じだが、美味い!
 皿に半球形に盛られたチャーハンをスプーンで崩し、湯気を浴びる幸福感!

 しかしである。チャーハンを頼んだ後、ラーメン+半チャーハンセットにすべきだったと反省しきり(半チャンは、昔はメニューになかったのだ)。
 あぁ、おバカな私……

 こんな性格だから、バイキングのときにいきなり入口近くの焼きそばを食べてしまい、肝心のローストビーフを取り損ねてしまうのだ……

 あぁ、テンマイ……
 ラーメンはあっさり系。
 感じの良いご夫婦二人で切り盛りしている。
 §
 昨日の北海道新聞夕刊に札響第520回定期演奏会の評が掲載されていた。書いているのは北海道情報大学教授の三浦洋。
 内容は、「カルミナ・ブラーナ」については、技術的には優れているが作品解釈には疑問ありというもの。「修道院で見つかった詩に潜む嗚咽を聴きとり」たかった、という。そうなのかなぁ?グレツキの交響曲第3番とは違うんだからなぁ。
 メンデルスゾーンの改訂版の交響曲第4番については、「牛頭蛇尾の印象」だそうだが、私はむしろ逆に感じた。
 人ってみな感じ方が違うのね。
 アゥゥゥゥ~ン……