今日、人間ドックを受けてきた。
くどいようだが、人間ドッグ
ではなく、人間ドックである。
会社が指定する検診センターは総合病院のなかにある。
私は一番乗りをめざすために6時45分に病院の正面玄関に着いた。
まだ施錠されていたが、他に人影はない。間違いなく私が一番乗りだ。
一番乗りしたからといって何かメリットがあるわけではない。X線写真プリント増量サービスとか、視力検査1ポイント成績アップとか、そういう特典はない。まあ、スタートが早ければ早いほど終了も早いということと、バリウム検査も早くに済むのでバリウムによって空腹を満たすことが出来る程度である。あとは妙な男のこだわり、意地というべきか。
6時50分にガードマンが来てドアを開錠した。
やはり他に人影はない。
私は余裕のよっちゃんで検診センターに向う。
廊下の角を折れ検診センターまであと15mというところで、私は脳溢血で倒れるかと思った。
薄暗い廊下に、すでに10名ほどのうだつのあがらない(ように見えた)連中どもが、検診センターのドアが開くのを待って列を成しているではないか!
どいつもこいつもロシアン・ルーレットの順番を待っているように陰気臭い。
それにしても、いったいどういうことだ?
私は玄関から一番乗りしたのだ。
こいつらはどこから湧き出してきたのだ?
誰だ、いや、謎だ。
もしかすると裏口はもっと早くに開くのかもしれない。
フェアじゃない!
これがバーゲンか何かだったら不公平に思ったやからが暴徒化するだろう。
私の予感はぴったりで、私の順番は10番だった。野球なら補欠だ。
検査の中身は別に何も言うべきことはない。
今年からX線検査の時には大きく息を吸う替わりに大笑いするように指示されたとか、エコー検査にオイルマッサージがセットになったとか、そういう変化もなかった。
昼食も変化がなかった。私は3種類用意されているうちの「豚生姜焼き弁当」にしたのだが、去年と同じく「豚生姜焼き弁当」と名乗るわりに豚肉は2枚だった。去年と同じものを選んで同じ文句を言っている私は進歩がないと思われるかも知れないが、それ以上に「豚生姜焼き弁当」の方がまったく進歩していないと断言できる。
さて結果である。
異例の事態が起こった。
現在通院治療中のもの、つまり高中性脂肪血症、高尿酸血症、高血圧は別として、さらに毎年指摘されるγ-GTPがやや高めであるということと、fatty Liver の傾向にあるというおまけはついたが、3年ぶりに再検査なしの快挙だったのだ!
幸せすぎて、わたし、なんだか怖い……
ちょっとばかり予感はしていた。
エコー検査はすんなり終わった。「なんだか今日ぉ、いけるかもしんないぃぃぃ~」と思った。
バリウム検査もしつこく指示されなかった。「やっぱり今日ぉ、いけるかもしんないぃぃぃぃ~」と感じた。どこかビミョーなところがあると、時間をかけられるからだ。
ただ楽観するとどん底に落とされるという経験を何度もつんでいる私は、そのことを胸に秘めたままでいたのだ。もっとも、こんな予想に誰も耳を傾けてなんてくれやしない。みんなどいつが自分よりどのぐらい不幸かを値踏みしているのだ。
ただ、「食道につかえる感じがある」と問診票に書いたことについては、「今日の検診では異常がなかったですが、続くようなら内視鏡検査をしてください」と、バリウム検査の限界を露呈するかのような回答。それに胃にしたって、私はこの2週間、胃のキリキリする痛みでガスターを飲み続けていたのだ。それがアブノーマル・サインがないなんて、世の中わからないものだ。
さらには、同じく「残尿感がある」という乙女なら恥じらいで気絶しそうな申告についてはまったく無視されてしまった。
最後の保健師との対話では「ビールを減らせば、いま問題となっている点はすべて解決すると思いますよ。でも生活習慣を直すのはなかなかたいへんですよね」と言われた。私は「だからこそ生活習慣病って言うんですね」と答え、2人でハハハッと友好的な雰囲気の中、別れを告げてきた。
ということで、星占いでは今日は12位だったが、星占いは当たらないことも同時にわかった。
