昨年のことである。
春からまったく新芽を出さず、枯れた状態のまま。
夏まで待っても浜辺に打ち上げられた小型難破船のようなままだったので、地際から切ってしまった。それはクレマチスのドクター・ラッペル。Dr.Ruppelはパテンス系の品種で花径は14~16センチとかなりの大輪である。わが家ではツルバラのエバーゴールドのそばに植え、同じトレリスに絡ませていた。バラの黄色の花とラッペルの紫色の対比がなかなかだったが、ラッペルの大きすぎる花は薄暗い夜の店で働いている濃い化粧をした大顔の女の子みたいな印象もぬぐえなかった。
昨年枯れてしまった時には、残念な気持ち半分、解放された気持ち半分であった。
ところが、今年の春になって、枯死した幹を切ったあたりからクレマチスっぽい新芽が顔を出した。その話は'09年5月22日に書いた。
私はドクター・ラッペルが信じがたいことだが1年ぶりによみがえったのかも知れないと恐れをなし、一方で妻は「雑草よ!」といとも簡単に結論を出した。私も半信半疑であった。
それがである。咲いたのである。盆も過ぎたあたりに蕾を持ち、こいつは咲いたのである。
間違いなくドクター・ラッペルであった。
厚化粧の顔がでかい女の子が店をやめ、でもある日地下鉄の優先席付近で偶然にも再会したかのような気分になった。
すごい生命力だ。
まる1年、こいつは地面の下で何をしていたのだろう。 ドクター・ラッペルの復活はそれはそれで嬉しい。
そのほかのわがガーデンの近況はというと、バラたちが今季2度目の開花ピークを迎えている。ピエール・ドゥ・ロンサールは一季咲きのはずなのに、たくさん花をつけている。本当に狂ってしまったんじゃないかと心配になるほどである。
プルーンも全体的に小ぶりながらたくさんの実をつけている。ただ、自然落果が例年よりも多い気がする。芝に落ちた果実を拾うのはけっこう後ろ向きの作業で面倒くさい。
話は変わるが、先日映画を観た。
「だから?」と突っ込まないように……
「20世紀少年 最終章 ぼくらの旗」である。第1作、第2作と観ていたので成り行きで観た。結論から言えば、第2章よりは面白かった。
この作品、コミックでも全部読み通したのだが、話が進むにつれ作者が話の収拾をつけられなくなっているのが痛々しくわかった。その点では、映画の最終章は何とか話をまとめ上げたっていう苦労が伝わってきた。とはいえ、原作がダッチロール状態だから限度がある。まっ、それ以上言わない。カツマタ半ズボン~!
今日は道内出張でごわす。