先週の月曜日のことだが、用があってこじんまりした郵便局に立ち寄った。
 多くの人がそうであるように、私も用があるときしか郵便局には立ち寄らない。

 その用というのは、郵便物を出すことであった。
 これもたいていの人と同じ動きだ。
 ゆうメール、昔は書籍小包と呼ばれていたものだ。

 そのとき私は、窓口の人の営業活動対象になってしまった
 「もうすぐ年賀はがきが売り出しとなります。ディズニーのデザインのものなんか、すぐに売り切れてしまうでしょう。お早めにご予約なさってはいかがでしょう?」

 とても親切である。
 昔の郵便局ならこんな場面は起こり得なかっただろう。
 でも、ちょっと押しつけがましい親切に感じた。
 きっとその窓口の人が年配の男性だったからだ。
 若めの、できればメガネをかけた、ちょっとシャイな感じなんだけど、腕抜きとかしていない清楚な感じの女性なら、私だってその場でミッキーマウスの声を真似て「ご親切にありがとー[E:up]」ぐらいのことを言ったかもしれない。

 でも、私は「はぁ」と答えたにとどめた。
 目を覗き込むようにその窓口氏は「いかがでしょう?」とチラシをかざしながら追い打ちをかけてきたが、「結構です」と答えてその場をあとにした。
 私はそんなにおめでたい表情をしていたのだろうか?
 正月好きに見えるのだろうか?

 ディズニーの年賀状を私からもらった人は喜ぶかもしれないな、という考えも少しよぎった。
 でも、喪中なのである。
 残念でした。

 郵便に関連した、広く親しまれている小曲がある。

 ネッケ(Hermann Necke 1850-1912)のクシコス・ポスト(Csikos post)である。
 私にはネッケがドイツの通俗作品作曲であるということ以外わからないが、間違いなく言えることは、この1曲だけで名を残しているということだ。
 また「クシコスの郵便馬車」と俗に呼ばれているが、これは誤訳だという。
 ただしくは「郵便馬車」なんだそうだ。

 私の次男は、小さいころピアノを習っていた。
 発表会で弾いたのがこの曲であった。

 この曲、聴いている分には、リストのハンガリー狂詩曲第2番にも似たフレーズが出てきてやや難しそうだ。しかし、実際にはA、つまり初級曲となっている。

 運動会などでこの曲はよく流される。
 なんで運動会でこの曲なのかよくわからないが、すっかり運動会という場になじんでしまっているのが不思議である。
 あっ、馬車並みに走れってことか……
 いずれにしても、この曲、やや陰りもあって、日本人好みなんじゃないかと思う(外国での人気度は知らないけど)。

 ここではオーケストラ版のものをご紹介しておく。
 運動会的内容のCDで、頑固爺さんも思わずニッコリって感じの名曲集だ。