はっきり言って、私は好きである。
そんなにしょっちゅうは食べないけど、好きな部類に入る料理である。
私がクラムチャウダー(clam chowder)という料理の名を知ったのは、その昔、あるドラマを観たときだった。
確か“オレゴンから愛”とかなんとかいう、“北の国から”と同じ香り漂う、開拓者苦境感動物語に属する番組だったと思うが、アメリカかどこかのレストランで古谷一行がクラムチャウダーを注文するが、その英語が通じないという場面だった。
英語が通じないよりも、クラムチャウダーを知っている古谷一行(が演じている役の人物)に感心したのであった。
私はホワイトシチューみたいなものしか知らなかったが、今回調べてみたら、クラムチャウダーには白いクリームスープのニューイングランド風と、赤いトマトソースのマンハッタン風があるんだそうだ。でも、やっぱり白いクリームスープがいいなぁ。ハウスのルーも白いし。
単身赴任の時に何度かハウスのルーを買って作ってみようと思ったが、当然のこととして貝は必要だし、ベーコンを入れなきゃ美味しくないし、タマネギやジャガイモも買わなきゃいけないしで、1人で作って食べるにはコストがかかる。それに、こういうのって大量に作っちゃうから、しばらく食べ続けなきゃならないはめになる。ある朝起きたら、MUUSANは二枚貝になってました、なんて嫌だし……
ということで、具は乏しいがインスタント物に頼ることになったのだが、無印良品のレトルトはなかなかいけた。
先週の土曜日に無印良品の店に寄ったとき、そのレトルト・クラムチャウダーを久しぶりに見かけて懐かしく思ったのだが、その直前に雑煮そばと焼きおにぎりを食べて、おなかがペリカンのくちばし状態だったので、購買意欲にまでは結びつかなかった。
一つだけ言えることは、そういういきさつでクラムチャウダーのことを思い出したってことだ。
ところで、みなさんはどうだろうか?
お好きだろうか?
ジョージ・クラムは。
こちらのクラム(George Crumb 1929- )はアメリカの作曲家だ。アサリとかベーコンのように美味しい食べ物ではない。
だが、不思議なことに三省堂の「音楽作品名辞典」に彼の名は出てこない。まだマイナーということか?
確かに「作曲の20世紀」(長木誠司監修。音楽之友社:現在入手不可)にも、《ジョージ・クラムは非常に有名でありながらもいまだに賛否両論渦巻く作曲家である》と書かれている。
マイナーではないが、評価が確立していないから載っていないということか?
《主として音色に関する独自の感性で称賛されているが、様式的には折衷主義である。彼はマーラーやバルトークの「夜の音楽」の影響を受けており、彼自身「大学にいたころ、音楽上で大きな影響を受けたのはバルトークだった」と述べている》という。とにかく、音色に対するこだわりは徹底しているらしい。
彼はバンドマスター兼クラリネット奏者だった父親から音楽の手ほどきを受け、10歳のころに最初の作曲を行なったという。
クラムと同世代にはノーノやブーレーズ、シュトックハウゼンたちがいる。しかし、クラムは12音技法や電子音を追求しはしなかった。心の中にあるイメージとしての音を現実的な音に表す。この(私には)よくわかんない姿勢がクラムのスタイルである。
その独特の音楽が、いまだに《賛否両論渦巻く》ということになっている(ただし、注意すべきは“否”だけじゃないということである)。
その彼の作品から、「幼子たちの古えの声(Ancient Voices of Children)」(1970)を。
メゾ・ソプラノとボーイ・ソプラノ、器楽のための作品で、テキストはスペインの詩人フェデリコ・ガルシア・ロルカ(Federico Garcia Lorca 1898-1936)による。
器楽はオーボエ、マンドリン、ハープ、エレクトリック(アンプリファイド)ピアノ、打楽器(奏者3)という編成。
7つの曲から成るが、各曲のタイトルと出典は次の通り。
第1曲 「Ⅰ.子供がその声を探している」
(「口のきけない子供」の一部)
第2曲 「古えの大地の舞」(器楽のみ)
第3曲 「Ⅱ.ぼくは何度も海をさまよった」
(「ガセーラⅩ 逃亡の」の一部)
第4曲 「Ⅲ.わたしの坊や、あなたは何処から来るの」
(「イェルマ」第1幕より)
(聖なる生の循環の舞)
第5曲 「Ⅳ.午後になると、グラナダでは、午後になると、子供ひとりが死ぬ」
(「ガセーラⅤ 死んだ子供の」)
第6曲 霊の舞(器楽のみ)
第7曲 「Ⅴ.ぼくの絹のこころはいっぱいだ、明かりで」
(「小さな広場のバラード」の一部) このタイトルを見ただけでも、そそられません?
私の絹の心はそそられたけど。
私が持っているCDはジャン・デガエターニのメゾ・ソプタノ、マイケル・ダッシュのボーイ・ソプラノ、アーサー・ワイスバーグ指揮コンテンポラリー・チェンバー・アンサンブルによる演奏のもの。1971年録音(ノンサッチ)。
カップリング曲は、2台のピアノと2人の打楽器奏者のための「夏の夜の音楽(マクロコスモスⅢ)」。
うわっ、廃盤だ。
じゃあ、私は聴いたことないけど、別なCDを!
さて、その音楽は……聴いてみてのお楽しみ!
このCDジャケットの渦巻星雲が何となく象徴しているような……
何せ、キーワードは「賛否両論」ですので……
プロフィール
MUUSAN
クラシック音楽、バラ、そして60歳代の平凡ながらもちょっぴり刺激的な日々について、「読後充実度 84ppm のお話」と「新・読後充実度 84ppm のお話」の2つのサイトで北海道江別市から発信している日記的ブログ。どの記事も内容の薄さと乏しさという点ではひそかな自信あり。
新館入口(2014.6.22~)
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© 2007 「読後充実度 84ppm のお話」
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