金曜日の夜は会社の、私も所属する部の忘年会であった。
余計な補足、注釈、言い訳と思われるだろうが、“会社の部”というのは私が勤務している部のことであり、詩吟サークルとか囲碁部といった職場の活性化を図る上で重要とされるような閉鎖的文化サークルのことではない。
さらに、私が所属している部とあえて書いたのは、私とは関係ない部署の忘年会があろうとなかろうと、そんな情報は私は持ち合わせていないし、私には関係ない時空で行なわれていることだから、正確な情報の前提条件として書いた。
いやでしょ?こういうくどいおじさん。
その店は私が苦手とする海鮮メニューを売りにしていた。
幹事の私に対する嫌がらせとも受け取れるが、私以外の人たちは少なくとも不幸そうな表情を見せていなかったから、それには文句を言わないことにしよう。いや、私の向かいに座ったKさんなんかは、お通しのもずく酢でさえ、目を細めて「美味い、美味い」と食べていた。ふだんどんなものを食しているのか知らないが、そのあとに料理が次々と運ばれてきたら感激のあまり卒倒するのではないかと、冒頭から心配した次第である。救われたのは、Kさんはけっこう速いペースで焼酎のロックを飲みすぎて、あとの料理の味を判別する機能を失ったことである。きっと舟盛りのワサビの塊を鼻に突っ込んでも気づかなかったに違いない(舟盛りというのは木工細工の舟の上にお造りが盛られたものである。舟のミニチュアが大皿に盛られたものではない。そっちの方が私は好きになれると思うが)。
私はと言えば、ほとんど料理を口にしなかった。
海鮮物ということもさることながら、おなかの調子が悪かったのである。
調子が悪いといっても、腹の鳴る音がいつもよりも半音狂っているとか、ノッキング現象が頻発するというのではない。妙に張っていたのだ。
ヒーヒーフーフーと呼吸しても張りは治まらない。妊婦だったらじき出産という局面だ。いけない、放っておくと破水してしまう!
果たして張りの原因は何か?
考えられるのは昼に食べた「牡蠣入りタンタン麺」の牡蠣である。
本当はふつうのタンタン麺を食べたかったのだが、牡蠣入りしかなかった。
もちろん牡蠣はきちんと油通しされており、牡蠣がいたんでいたという意味ではない。
ただ、何となく張った原因が牡蠣だと思っただけだ。
だが、牡蠣のせいだろうと目の前の鍋の火気のせいだろうと、腹が張っていることには変わりない。苦しかった……
宴会の会場は人数の割に狭く、ギューギュー詰めの状態だった。
忘年会というよりは、市役所の職員食堂の12:15頃のような状態であった。
私は「きっとブロイラーを育てている鶏舎の中ってこんな感じなんだろうな」と、皆に取り損ねられて鍋の表層で寂しげに浮遊する鶏肉ダンゴを眺めながら、考えていた。
肉鶏のオールイン・オールアウトよろしく、我々の忘年会は20:30に終宴した。
あの狭苦しい場所にあれ以上いたら、一気に集団感染したに違いない。ワケのわからなさが……
肉用の鶏って雄と雌と両方使われているのかどうか知らないが(卵用の鶏は雌だけであるということは、素人の私でも自信を持って主張できる)、今日は「めんどり」。
スーパーでウドンを万引きすることではない。雌鶏である。
ハイドン(Franz Joseph Haydn 1732-1809)の交響曲第83番ト短調「雌鶏(La poule)」(1785)。
ハイドンの交響曲第82番から第92番までは「パリ交響曲」と呼ばれており、82番から87番まではパリのコンセール・ド・ラ・ロージュ・オランピックからの依頼で作曲された。
第83番は、《第1楽章をはじめとして、対位法の巧妙な使用をみせている。とくに、第1楽章の展開部での充実した対位法は、モーツァルトの交響曲「ジュピター」の終楽章にも影響をあたえたのではないかともいわれているほどである。それと同時に、アンダンテの第2楽章やメヌエットの第3楽章には、当時の流行のロココ趣味も認められる》と、門馬直美氏は書いている。
「雌鶏」という題名は、第1楽章の第2主題が雌鶏の鳴き声を連想させるためにつけられたという。
第2主題……そうかねぇ~。
はい、この名の由来に対してみなさんご一緒に、
やれやれ……
この題名、パリで呼ばれ始めたらしい。だから原題もフランス語なのだろう(ちなみにハイドンはオーストリアの作曲家)。
なお、第82番のタイトルは「熊」である。
CDは「熊」のときにも紹介したクイケン盤を(Virgin。1989年録音)。
どうでもよい話だろうが、私は鶏肉が好きである。
新館入口(2014.6.22~)
御多分にもれず参加中・・・
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© 2007 「読後充実度 84ppm のお話」
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