車のオイル交換もしたし、ストップランプのうちでいつの間にか切れていた1個の電球も取り換えて、大きな懸案事項を片付けた気分である。
あとは、物置の中の配置を非積雪モードから積雪モードに切り替えなくてはならない。ゴミをためておくコンテナ・ボックスを物置の中に入れ、自転車は外に出し、雪かきは中に入れる、といった神経が張る作業である。
それにしてもなぜウチにはこんなに自転車があるんだろう。それも乗っていないものが。
新しいのを買っても、まだ乗れると前のを処分しないからこういうことになるのだ。
処分しなかったのは私だから文句をぶつける場がないのが悔しい。
でも、今日は寒い。今日って、20日の日曜日のことである。
いろいろとしなきゃならないことがあるが、ボーッとしていたい気分だ。
そういうときに変な正義感を持って、外で作業なんかするときっとロクなことはない。
物置の片づけ中に心筋梗塞で倒れ、「何もあんな寒い日にやらんくたっていいのに」と死後も陰口をたたかれるのがオチだ。
よし、昼寝だ!
ブルックナーをかけてすやすや寝よう。
最近とみに、私はブルックナーを能動的に聴きたいと思わなくなった。
信仰が薄くなったのか?
いや、もともと信仰なんてない。
長い曲は体力的に無理になったのか?
いや、長くてもマーラーなら全然平気である。
ということは、もともとそんなにブルックナーとは相性が良くなかったのかもしれない。
今さら言うのは何だが……
もちろん嫌いではない。
ときおりあのオルガン的と言われる響きの中で埋もれたいと思う。
でも、進んで聴きたいとは思えなくなってきた。
昼寝にはいいかもしれない。
《彼は台所に行ってもう一本ビールを飲んだ。そして居間のステレオ装置の前にうつぶせに寝転び、ヘッドフォンをつけ、夜中の二時までブルックナーのシンフォニーを聴いた。夜中に一人でブルックナーの長大なシンフォニーを聴くたびに、彼はいつもある種の皮肉な喜びを感じた。それは音楽の中でしか感じることのできない奇妙な喜びだった。時間とエネルギーと才能の壮大な消耗……》
これは村上春樹の「プールサイド」という短編小説にある一節である(「プールサイド」は講談社文庫の「回転木馬のデッド・ヒート」に収められている)。
私はここでのシンフォニーは第5番だとみた!
個人的なことだが、私はブルックナー(Anton Bruckner 1824-96)の交響曲のなかでも第5番がけっこう苦手なのだ。
交響曲第5番変ロ長調WAB.105。
1875年から翌76年に作曲され、78年から79年にかけて改訂されている。
初演は1894年であるが、このときには指揮を務めたF.シャルクによって、楽器編成をはじめ大幅な変更が加えられて演奏された。原典版の初演は1935年である。
ブルックナー自身はこの交響曲を「幻想的」と呼んだそうだが、幻想というよりも「朦朧的」であると私は思う。
皮肉な喜びなんて感じない。
ある種の素直な苦痛は感じる。
逆に言えば、この曲に陶酔できる人は、そこから逃れられないんじゃないかと思う。
私が持っているCDはアイヒホルン指揮バイエルン放送響によるライヴ録音のもの。
1990年録音。カプリッチョ・レーベル。
ところでこの「プールサイド」でも、村上春樹は相変わらずセックスのことを書いているが、セックスに関する記述でいちばん私が気に入っているのは、「羊をめぐる冒険」(講談社文庫)の下巻25pにある、次の文だ。
《そして暇つぶしに四年間の結婚生活中に行ったセックスの回数を計算してみた》
どこが気に入っているかというと、この文は2つの意味に解釈できるからだ。
1つは、“四年間の結婚生活の間に(妻と)行なったセックスの回数”を、暇つぶしで数えてみたというもの。
もう1つは、“四年間の結婚生活の間に暇つぶしで(妻と)行ったセックス”の回数を計算したというものである。
このことについては、佐藤幹夫も「村上春樹の隣には三島由紀夫がいつもいる。」(PHP新書)で指摘しているが、村上春樹はここであえて“、”を入れず、読者に解釈を委ねている。
この文を思い出すたびに、私は文章を書くのって本当に難しいと思う。句読点の打ち方って本当に難しい。
では、ブル5をかけながらお昼寝しましょ。
↓
結局は、久々に“私の再生装置”で(私の尻尾を再生させるわけではない)ショスタコの交響曲第8番を聴いてしまった。寝るどころか。近所から苦情がきそうな大音量で。
ちなみに、私の再生装置はプリメイナンプがラックスマン、CDプレーヤーがDENON、スピーカーがインフィニティである。だから何だって?。なんでもないっす。
やっぱ、スピーカーから音を出して聴くのはいい!
トラックバック一覧
-
1. ブルックナー 第5番 アイヒホルン リンツ・ブルックナー管
- [今でもしぶとく聴いてます]
- 2011/03/20 20:40
- 先日お昼に四条河原町(京都市)あたりを歩いていると、高校生か大学生らしき若者が
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新館入口(2014.6.22~)
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