私は美術作品にはあまり詳しくないのだが、フェルメールって昔から一般に知られていたのだろうか?
 昔といっても半世紀前とかのことじゃなくて、20年とか30年前。
 学校教育で知る範疇では、ゴッホとかルノワール、ピカソ、ラファエロなんかは名前を聞いたことがあったが、フェルメールなんて聞いたことはなかった。私は。

 初めてフェルメールを知ったのは2007年の秋、東京の国立新美術館で行なわれていた“フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展”においてであった。
 確かになかなか良い絵である。
 でも知らんかった。
 もう一度聞きますけど、皆さんはずっと前から知ってました?

339f9094.jpg  フェルメール(Johannes Vermeer 1632-1675)はオランダの画家で、その作品の“青色”に特徴がある。

 ところで何で急にフェルメールを取り上げたかというと、ANAの機内誌“翼の王国”でフェルメールが特集されていたからである。それが“急に”の理由にはちっともなっていないけど。
 そこで、“翼の王国”に載っていたフェルメールの絵のうち、音楽と関連するものを転載させていただいて、皆と喜びを共有しようではないか!って、何言ってんだかちっともわからない……

 いちばん上の絵は「音楽の稽古」(1662-65頃)。
 椅子の青色が美しい。
 正面の鏡にはスピネット(あるいはヴァージナル)と思われる楽器を弾いている女性の顔と、その背景が映っているが、そこに映り込んでもおかしくないはずの描き手であるフェルメールの姿はない。鏡の中はもっと近くまでしか映っていない。
 もう、恥ずかしがり屋さんなんだからぁ。

bbe2e7aa.jpg  ところで、スピネット(spinet)というのは、16世紀から18世紀にかけて使用された、通常は1段鍵盤の小型のチェンバロの一種である。弦は1鍵につき1本で、鍵盤に対して斜めに張られジャックではじかれる。ふつう音域は4オクターヴ半である。

 「音楽の稽古」では、他にチェロのような楽器も見える。おそらくはヴィオラ・ダ・ガンバであろう。
 それにしても、鍵盤楽器と弦楽器の両方を稽古しなきゃならないとしたら、このお嬢さんも大変だ。

 2番目の絵は「ギターを弾く女」(1672頃)。
 なんかこの女性、サーカスのメンバーの中にいそうな顔立ちである。
 おでこのテカりも半端じゃない。

2318e461.jpg  3枚目は「ヴァージナルの前に立つ女」(1672-73頃)。
 この女性、「ギターを弾く女」の母親かも知れないような顔立ちである。
 正面の絵画にはキューピッド(?)が描かれているが、手にしているカードは白紙のようである。
 ヴァージナル(virginal)という楽器は、15世紀から17世紀までイギリスで流行したチェンバロの一種。鍵盤付きの撥弦楽器である。名称は、サロン用か家庭的な楽器で、婦女子に親しまれるものとしてつけられたと考えられている(ヴァージン+alってなんだか意味深)。17世紀末まではチェンバロ属の総称だったが、その後小型のもののみを指すようになり、スピネットと同義語となった。

 4枚目は「ヴァージナルの前に座る女」(1675頃)。
47dc1f29.jpg  なんか色っぽい目つきをしているなぁ。
 横にある弦楽器には6本の弦が張られている。したがって、これがヴィオラ・ダ・ガンバであることがわかる。
 
 これらの絵が描かれた時期、すなわち1660~75年というと、音楽ではバロック中期にあたる(バロック期は1600年からと一応区分される)。
 このころの主な作曲家としては、スェーリンク(1562-1621)、モンテヴェルディ(1567-1643)、フレスコバルディ(1583-1643)、シュッツ(1585-1672)、リュリ(1632-1687)、パーセル(1659-1695)があげられる。
 テレマンは1681年、ラモーは1683年、J.S.バッハとヘンデルは1685年の生まれである。

 今日は、これらの絵が描かれるよりも前のフランドル(南オランダを含む一帯)の作曲家の作品を。区分としてはルネサンス音楽になる。

7f7528f4.jpg  クレメンス(Jacobus Clemens 1510頃-56頃)の「われはシャロンの花なり(Ego flos campi)」(1555刊)。7声によるモテットである。
 クレメンスはまたの名をクレマン・ノン・パパ(Clemens non Papa)というが、同時代に同名の詩人がいたために区別するためにこの俗称が生まれたと考えられている。フフランドル楽派後期の作曲家である。
 この曲はナクソスの「ルナサンス・マスターピース」というCDに収められている。

 なお、前に紹介したスザートもフランドルの作曲家で、クレメンスと同世代である。

 それにしても、タワーレコードなどの店内でルネサンス音楽が流れていると、すっごく新鮮な響きに感じるのに、家で聴くとそこまでじゃないのはなぜなんだろう……

§

 昨日の月曜日、私は先週日曜日に出張した代休をとった。
 こういう日に限って雪がやや大量に降る。
 雪かきをテキトーにすませ、「のだめカンタービレ」の映画を観に行ってきた。
 なかなか楽しめた。でもやっぱり、のだめってもし実際に近くにいると、かなり厄介な奴だと思う。