日曜日、高松滞在の最後の夜(といっても2泊しかしなかったんだけど)は、寿司屋に行った。
刺身系が苦手の“おさかな様教”信者のような私だが、瀬戸内といえば海の幸。
ということで、寿司。
前日の昼も寿司。
とても熱心な信者とは思えない無謀な行動だ。
行ったのは“寿し勝 ライオン通り店”。
なぜ、そのアーケードがライオン通りというのか知らないが、とにかくライオン通りっちゅうくらいだから、狸小路よりは強そうだ。けど、狸もライオンも人通りはまばら。みんな獣を敬遠するのだろう。
寿司屋に入ると(私たちは2名)、時間が早いせいか先客はおらず、しばしの間、店側と客側との間で微妙な溝というか沈黙というか探り合いがあったが、すぐに打ち解けた。
うん。感じが良い。
今度高松に来たらまた寄るからと、半分本気、半分勢いで言って、店をあとにした。
食べたのはマグロの赤身とイカのゲソ焼きと玉子の細巻き。
見事に瀬戸内をはずしている。
そのあと、すぐ近くの居酒屋に寄る。
ラーメンと書いたのぼりに引かれたのだ。“喰道楽 酔〇屋”という店。
珍しく焼酎を飲み、持ち帰り用のおにぎりを頼んだ。
明日の朝食用だ。やはりちゃんと握ったおにぎりは、かすかにレモンティーみたいな匂いがするコンビニのものとは違うはずだ。
「カツオと鮭を1つずつね」
店のお姉さんが不思議な顔をしている。まるで、sin64.23°の解を求めているかのような表情だ。少し頭を整理してから彼女は言った。
「あのっ、カツオはないんですけど、おかかでいいでしょうか?」
はい、全然いいんです。
そのあとラーメンを頼む。
角煮ラーメンとホルモンラーメンがある。
角煮ラーメンを注文する。
出てきたものは、私の過去の経験上ではラーメンと呼べる食物とは乖離していた。
うまく言えないが、確かに言えることは、美味しくない。婉曲な言い方をするなら、私の口に合わない。一緒いた東京者tooであった。ホルモンラーメンだったら丼を放ってしまったかもしれない(ホルモンの語源は、と畜場で「放るもん」だ、ということに由来するという説もある)。
朝になって、おにぎりを食べようとした。
おにぎりは殺伐とした硬さで、冷涼な質感だった。
申し訳ないが私は完食できなかった。
こうなったら高松空港でズドーンと洋食を食べてやろうと思って早めに行ったら、朝の定食か朝カレーしかなかった。さすがに朝から1,100円のカツカレーは無謀なので、朝定食(目玉焼きとウィンナー2本とレタス少々と味噌汁)にした。ご飯が美味しかった。おにぎりのかたきがとれたような気がした。
高松から沖縄への飛行機は快適を通り越して快感なほどすいていた。ANAの営業担当者はたいへんだろうけど。そもそも高松と那覇の間に直行便があるなんて、今回まで知らなかった。どういうコンセプトで設定されているのだろう?
ガラすきだったので、座席を移動して窓側へ。
徳之島と沖永良部島が見えた。
沖永良部島の形は、あのおにぎりのパックに申し訳程度に入れられていた、つぼ漬けを思い出させた。
ところで、高松空港のトイレには、すべての便器の前に“再生水を利用しています”と書いた紙が張ってあった。
これって何を訴えようとしているのだろうか?
再生水を使って環境のことを考えてます。偉いでしょ?ってことなのか?
だったら、ぶっきらぼうにこう書くのではなく、環境に云々と書いて欲しいものだ。
それとも幼児なんかが間違って便器の水を飲まないように、ってことか?
なら、全部ひらがなで書かなきゃ。
いや、いくらなんでも便器の水を飲むわけがない。水遊びもしない。
そういえば、ほかにトイレでよく見かけるのが、“みなさまのおかげでこのトイレは清潔に使われております”って張り紙。
「おります」ときたもんだ。
これって、暗に“汚すなよ!”ってプレッシャーをかけてるんだろうが、使おうとしたときにすでにビチャビチャに汚れていたら、「この大嘘つき!」って言いたくなる。
以上、いずれも小便器の話でした。
じゃ、ついでに大便用個室の話。
空港や駅のトイレで最近気がついたのだが、個室のドアが閉まっているときにノックをする人ってほとんど見かけなくなった。
じゃあ、黙って待ってるのかというとそうではなく、いきなりノブを引いて試しに開けてみようとするのである。まずありえないとは思うが、鍵をかけ忘れたらけっこう悲惨である。
そんなことを考えていたら、那覇に着く。
さすがに暑い。
いますぐ“好きですさっぽろ”のTシャツ1枚になってしまいたいが、あいにく持っていないのが残念だ。
アイゼンシュタイン氏が私を空港まで迎えに来てくれていた。
実は沖縄での仕事は、アイゼンシュタイン氏の会社にお願いしている件の“監視”である。
すでにアルフレッドも昨日から沖縄入りしている。
アイゼンシュタインは札幌にいるときと同様にへらりへらりとした表情で私を待っていた。
よかった。
暑さのせいでもっとヘニョリヘニョリしているんじゃないかと心配になっていたのだ。
10時前に食事をしただけの私は、少し何か食べようかと思ったが、とりあえずはアイゼンシュタイン氏が乗ってきたレンタカーのところへ向かう。なぜなら、駐車場に入れずに路上駐車していると言うからだ。
そのあとアイゼンシュタインにお願いして、ファミレスに行く。
ガストでチキン・ガーリック・ソテーを食べる。
うん。札幌と同じ味だ。
那覇での最初の食事はガスト。
相変わらず、自分の保守的信念に感心する。
しかし、この全国均質の味は貴重とも言える。
那覇1日目の夜は、創作うちなー料理の店“首里殿内(Sui Dunchi)”で食事。
アルフレッドが調べ上げた店で、確かに雰囲気が良い。
石畳の坂を登る(ほんのちょっと)と、店の入り口が現れるが、この石畳、“名勝”と書いてある。
書いてあるからには名勝なんだろう。
確かになかなかよい雰囲気である。
ただ、酔った帰りには転ばないように足元を十分注意しなければならない、アイゼンシュタインは。
沖縄料理というのは私は得意でないものが多い。
これまで、新丸ビルに入っている沖縄料理店と、昨年国頭村のホテル内の沖縄料理店に入ったくらいしか経験がないが、ちょいと苦手である。もっとも、北の北海道と南の沖縄という対極の位置関係にあるのだから、料理のあり方がかなり異なっていても不思議ではないし、馴染めないのも不自然ではない。
でも、この店の料理は食べやすかった。
観光客用に食べやすく“創作”してくれているのかもしれない。
アイゼンシュタインは昨夜も飛ばしていた。
飛んでいた。
北の大地でも、南の沖縄でもそのスタンスは変わらないのだ。
ある意味、タフである。
北でも南でもヘロヘロになる。
アイゼンシュタインの使っていた皿だ。
食べかけて置き去りになったピザの破片の周囲に、高菜チャーハンのご飯粒が元気なく散らばっている。
なんだかかわいそうに見えた。
首里殿内 那覇市首里金城町2-81 098-885-6161
刺身系が苦手の“おさかな様教”信者のような私だが、瀬戸内といえば海の幸。
ということで、寿司。
前日の昼も寿司。
とても熱心な信者とは思えない無謀な行動だ。
行ったのは“寿し勝 ライオン通り店”。
なぜ、そのアーケードがライオン通りというのか知らないが、とにかくライオン通りっちゅうくらいだから、狸小路よりは強そうだ。けど、狸もライオンも人通りはまばら。みんな獣を敬遠するのだろう。
寿司屋に入ると(私たちは2名)、時間が早いせいか先客はおらず、しばしの間、店側と客側との間で微妙な溝というか沈黙というか探り合いがあったが、すぐに打ち解けた。
うん。感じが良い。
今度高松に来たらまた寄るからと、半分本気、半分勢いで言って、店をあとにした。
食べたのはマグロの赤身とイカのゲソ焼きと玉子の細巻き。
見事に瀬戸内をはずしている。
そのあと、すぐ近くの居酒屋に寄る。
ラーメンと書いたのぼりに引かれたのだ。“喰道楽 酔〇屋”という店。
珍しく焼酎を飲み、持ち帰り用のおにぎりを頼んだ。
明日の朝食用だ。やはりちゃんと握ったおにぎりは、かすかにレモンティーみたいな匂いがするコンビニのものとは違うはずだ。
「カツオと鮭を1つずつね」
店のお姉さんが不思議な顔をしている。まるで、sin64.23°の解を求めているかのような表情だ。少し頭を整理してから彼女は言った。
「あのっ、カツオはないんですけど、おかかでいいでしょうか?」
はい、全然いいんです。
そのあとラーメンを頼む。
角煮ラーメンとホルモンラーメンがある。
角煮ラーメンを注文する。
出てきたものは、私の過去の経験上ではラーメンと呼べる食物とは乖離していた。
うまく言えないが、確かに言えることは、美味しくない。婉曲な言い方をするなら、私の口に合わない。一緒いた東京者tooであった。ホルモンラーメンだったら丼を放ってしまったかもしれない(ホルモンの語源は、と畜場で「放るもん」だ、ということに由来するという説もある)。

おにぎりは殺伐とした硬さで、冷涼な質感だった。
申し訳ないが私は完食できなかった。
こうなったら高松空港でズドーンと洋食を食べてやろうと思って早めに行ったら、朝の定食か朝カレーしかなかった。さすがに朝から1,100円のカツカレーは無謀なので、朝定食(目玉焼きとウィンナー2本とレタス少々と味噌汁)にした。ご飯が美味しかった。おにぎりのかたきがとれたような気がした。

ガラすきだったので、座席を移動して窓側へ。
徳之島と沖永良部島が見えた。
沖永良部島の形は、あのおにぎりのパックに申し訳程度に入れられていた、つぼ漬けを思い出させた。
ところで、高松空港のトイレには、すべての便器の前に“再生水を利用しています”と書いた紙が張ってあった。
これって何を訴えようとしているのだろうか?
再生水を使って環境のことを考えてます。偉いでしょ?ってことなのか?
だったら、ぶっきらぼうにこう書くのではなく、環境に云々と書いて欲しいものだ。
それとも幼児なんかが間違って便器の水を飲まないように、ってことか?
なら、全部ひらがなで書かなきゃ。
いや、いくらなんでも便器の水を飲むわけがない。水遊びもしない。
そういえば、ほかにトイレでよく見かけるのが、“みなさまのおかげでこのトイレは清潔に使われております”って張り紙。
「おります」ときたもんだ。
これって、暗に“汚すなよ!”ってプレッシャーをかけてるんだろうが、使おうとしたときにすでにビチャビチャに汚れていたら、「この大嘘つき!」って言いたくなる。
以上、いずれも小便器の話でした。
じゃ、ついでに大便用個室の話。
空港や駅のトイレで最近気がついたのだが、個室のドアが閉まっているときにノックをする人ってほとんど見かけなくなった。
じゃあ、黙って待ってるのかというとそうではなく、いきなりノブを引いて試しに開けてみようとするのである。まずありえないとは思うが、鍵をかけ忘れたらけっこう悲惨である。
そんなことを考えていたら、那覇に着く。
さすがに暑い。
いますぐ“好きですさっぽろ”のTシャツ1枚になってしまいたいが、あいにく持っていないのが残念だ。
アイゼンシュタイン氏が私を空港まで迎えに来てくれていた。
実は沖縄での仕事は、アイゼンシュタイン氏の会社にお願いしている件の“監視”である。
すでにアルフレッドも昨日から沖縄入りしている。
アイゼンシュタインは札幌にいるときと同様にへらりへらりとした表情で私を待っていた。
よかった。
暑さのせいでもっとヘニョリヘニョリしているんじゃないかと心配になっていたのだ。
10時前に食事をしただけの私は、少し何か食べようかと思ったが、とりあえずはアイゼンシュタイン氏が乗ってきたレンタカーのところへ向かう。なぜなら、駐車場に入れずに路上駐車していると言うからだ。
そのあとアイゼンシュタインにお願いして、ファミレスに行く。
ガストでチキン・ガーリック・ソテーを食べる。
うん。札幌と同じ味だ。

相変わらず、自分の保守的信念に感心する。
しかし、この全国均質の味は貴重とも言える。
那覇1日目の夜は、創作うちなー料理の店“首里殿内(Sui Dunchi)”で食事。
アルフレッドが調べ上げた店で、確かに雰囲気が良い。
石畳の坂を登る(ほんのちょっと)と、店の入り口が現れるが、この石畳、“名勝”と書いてある。
書いてあるからには名勝なんだろう。
確かになかなかよい雰囲気である。
ただ、酔った帰りには転ばないように足元を十分注意しなければならない、アイゼンシュタインは。

これまで、新丸ビルに入っている沖縄料理店と、昨年国頭村のホテル内の沖縄料理店に入ったくらいしか経験がないが、ちょいと苦手である。もっとも、北の北海道と南の沖縄という対極の位置関係にあるのだから、料理のあり方がかなり異なっていても不思議ではないし、馴染めないのも不自然ではない。
でも、この店の料理は食べやすかった。
観光客用に食べやすく“創作”してくれているのかもしれない。

飛んでいた。
北の大地でも、南の沖縄でもそのスタンスは変わらないのだ。
ある意味、タフである。
北でも南でもヘロヘロになる。
アイゼンシュタインの使っていた皿だ。
食べかけて置き去りになったピザの破片の周囲に、高菜チャーハンのご飯粒が元気なく散らばっている。
なんだかかわいそうに見えた。
首里殿内 那覇市首里金城町2-81 098-885-6161