4fc6a70c.jpg  この文を書いている現在は、2月20日(土曜日)13:01分である。
 まだ帰宅してから半日、つまり12時間経っていない。
 私が帰宅したのは2月20日(土曜日)午前2時10分だった。

 やれやれ。
 誕生日を2日前に迎え、もう若くはなくなったのに、この有様である。

 金曜日の夜――つまり19日の夜だ――私は取引先の某独身男性と飲んだ。
 正直言って、気乗りしていたわけじゃないけど、今回はぜひお礼のしたいからと誘われたので応じたのだ。
 こちらは私と、私の課の男の子2人の計3人。
 向こうは1人。その名前の暗号をINDとしよう。

 私たちは夜が長引かないように、酒席の場をすすきのにはしなかった。
 ところが飲み進むうち、最初は「いやぁ、このところ続いてましてね。飲みつかれているんですよ」なんて言ってたIND氏は、どんどん元気になり、スケベな話をしだし、とことん飲みましょうモードに入っていった。

 私たち3人はそれに反比例するように、飲酒意欲が失せていった。

 IND氏が2軒目に行くと強引に言い張ってきかなくなるだろうことは、塩がしょっぱいというよりも明らかだった。
 でも、私たちはこのようなときにどう対処するか、事前に決めていた。ちゃんと危機管理ができているのだ。
 それは、私1人だけが彼を引き受ける、というゼロ戦方式作戦であった。

 私は彼とタクシーに乗り、すすきのへと向かった。
 タクシーの窓からは、課の男の子2人が安堵に満ちた嬉しそうな表情で、道を歩いているのが見えた。
 いいなぁ……

 2軒目ではIND氏はすっかりいつものIND氏になった。
 つまり、やかましくて、やらしい話ばかりし、やたら落ち着きない。
 “三大「や」”だ。
 「や」三昧だ。

 彼は実際にはとても良い人間なのだが(それ以外にフォローの言葉が見つからない)、飲み方が私と根本的に違うのだ。
 私は少人数で静かに飲むのが好きだ。あまり夜遅くまで飲むのも嫌だ。
 しかし彼は、やたら落ち着かないと書いたように、この場に及んで携帯をかけまくっている。そのときは気づかなかったが、「こっちに来い!」と、疑似的仲間に強引に声をかけていたのだ。

 IND氏と2人だから、「このときは少人数だっただろう」と指摘したいかもしれないが、彼といると満席の銀座ライオンの中央席に案内されたような感じになるのだ。

 もういい。こんなに遅くなった。十分飲んだ。
 そう思っていたら、不幸にもIND氏からの電話を受けて召集されてしまった別な取引先の人がやってきた。
 ほら、仕切り直し。
 しばらくするとまた1人。
 また、仕切り直し。

 ということで、あんな時間になってしまったのだ。

 そもそも、今回IND氏がこちらを誘った主旨は、氏がわが社に提案した企画を私たちが採用したという、その感謝の意を込めてということであったが、これじゃあ単に氏が酒を飲みたいことに付き合わされてるだけだ。こっちの意向(少しで十分です。早く解散しましょう)なんてまったく無視だ(私は抗議の意味を込めて、ここでの支払いをした。IND氏はそんなことされては困ると言っていたが、私が支払った。けど、なぜ私が払う行為に出たのかは理解されてないみたいだ。ということは、払わなきゃよかった)。

 しかも、その商談成立にはもう1社、別な会社が噛んでいるのだが、あとから呼び出された人々はその会社とは関係のない人物であった。

 呼ばれた人に、私は何も悪意を持っていない。罪はない。むしろ呼ばれて気の毒だと思っている。この場で呼ぶIND氏が悪い。
 彼らとは初めて酒の席で一緒になったが、できればIND氏が介入しない場で話をしてみたかった。今度仕切り直しを提案しよう。

 あんな迷惑条例違反者みたいな人間をビバ・トレードに連れていったことを深く反省している。ナタオーシャよ。そしてカトナーリャよ。下品な言葉や失礼な言葉を浴びせられるはめになって、本当に申し訳ない。
 カチャカポコナよ。
 もし、IND氏が店に来たら、「下品な方お断り」と言って、追い返してくれ。
 そのあとは大量の塩を撒いてくれ。
 IND氏があの店に頻繁に顔を出すような事態になったなら、残念だが、私はビバ・トレードを卒業することにしよう。

 ということで、今朝目を覚ますともう8時を過ぎていた。
 でも、全然寝足りなかった。
 口の中は枯れ葉の味がした。
 妻は異臭を放つカメムシを見るような目つきで私を見た。

 今日はブログ記事を4~5本書きためる予定だったのだが、ん~、無理だな……
 貴重な土曜日をリハビリに使う羽目になってしまった。

 ところで、INDと書くと、インドみたいだ。
 インドと言えば象だ。

 象と言えば、2月19日の記事にコメントを寄せてくれたMeitneriumさんが、「夢で会いましょう」の象について書いている。

 「夢で会いましょう」(講談社文庫)は、村上春樹と糸井重里の短編が収められたもの。共作ではなく、個々の作品が雑多に収められている。

 そのなかの、村上春樹が書いた「モーツァルト」という作品。
 “僕”はちょっと顔見知りになった象に、野外音楽堂で会う。
 「モーツァルトはお好きなんですか?」と“僕”は象にたずねる。
 「ええ、大好きなの。モーツァルトをじっと聴いてると、体が透明になっちゃうような気がするんです」彼女は言ってから少し赤くなる。
 そのあと“僕”は自分の席に戻って、1人でビールを飲みながらモーツァルトのト短調のシンフォニーを聴く。そして音楽にあわせて彼女の耳がぱたぱたと揺れている様を想い浮かべる。

 ご存じのように、モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart 1756-91 オーストリア)には、ト短調の交響曲が2曲ある。
 1つは、交響曲第25番ト短調K.183(173dB)(1773)。これは、映画「アマデウス」のオープニングで使われたことで、広く知られるようになった。
 もう1曲は、交響曲第40番ト短調K.550(1788)。こちらは、非常に有名な曲である。

 ということで、“僕”はこのとき、どちらのト短調交響曲を耳にしていたのかな、という話。

 この2曲のCD聴き比べ(といっても、そんなに聴いているわけじゃないが)についての記事は、上の作品名をクリックするとリンクする。

 ところで、「夢に会いましょう」には、村上春樹の「パン」という物語も収められている。
 先日、氏の短編「パン屋再襲撃」について書いたが、この「パン」は再襲撃の前の最初の襲撃を書いたものである。

 INDさん。
 お願いですから、私の夢になんて出てこないでくださいね。
 いや、「出てくるな!」