1566a24b.jpg  宮部みゆきの「R.P.G」(集英社文庫)。

 300ページほどの中編小説で、作者は《単行本にするには少々枚数が短く、中短編集に入れるには独立性が強すぎて収まりが悪いという、まさに“帯に短し襷に長し”……》と、あとがきに書いている。
 宮部みゆき初の文庫書き下ろし作品。

 ストーリーは、ネット上の疑似家族の“お父さん”が殺されて……、というもの。
 警察の取調室での描写が多くを占める。
 その取調室。

 “お父さん”を失った疑似家族のお母さん(奥さんのこと)、息子、娘が一緒に質問を受ける。
 刑事を前にして、取調室で3人が罵り合いを始める……
 だが、この3人は実は……

 ということで、またまたやられました、私。
 宮部みゆきの一筋縄ではいかない展開に、すっかりやられました。

 最初に登場人物の名前が次から次へと出てきて、自分のメモリー不足を心配したが、最初さえ耐え抜けばこの点は大丈夫。
 あっという間に読めるので、ぜひともお薦めしたい。

 それにしても“疑似家族”って、なんとも不気味。
 まったく気持ちがわからない、ってわけではないけど……
 宮部がところどころで挿入している、メールの内容も、単純ながらリアルで気持ち悪いくらい。
 こういうやりとりが今日もどこかでされているんだろうか……

 本書のなかで私が印象に残った箇所。

 《彼女の表情が動いたのを見て、武上はようやく、これは一見薄化粧のようだが、実はたいそう手の込んだ念入りな化粧なのだということを感じた》

 女性作家ならではの細かな描写か?……

d2e86355.jpg  R.シュトラウス(Richard Strauss 1864-1949 ドイツ)の「家庭交響曲(Sinfonia domestica)」Op.53(1902-03)。

 交響曲と名がついているが、彼の「アルプス交響曲」と同じく、単一楽章からできており、交響詩とも言えるものだ。
 R.シュトラウスは自分の家庭をモデルとして、幸福な家庭生活を描写した。
 う~ん、露出狂的。
 へぇ~、幸福だったんだぁ。それを世間に訴える?……
 育児をめぐる夫婦の議論を二重フーガで表現したりもしているが……(わが家の夫婦間議論=口論を音楽にするとしたら、ウルトラ対位法のようになるかもしれない)。

 LP時代はカラヤン盤を聴いていたが、いま私の手元にあるのはライナー指揮シカゴ響のCD(カラヤン盤を買い直そうとは思わない)。
 1956年と録音は古いが、LIVING STEREOシリーズで、激しく元気な、細かいことは気にしないって録音である。ホント、良い音です。
 ライナーのシュトラウスだから、演奏もすばらしい。
 CDジャケットのお母さんの指も美しいし……
 壁にはワケがわからないものが掛かっているけど。

 さて、昨日から宮部みゆきの「レベル7」(新潮文庫)にとりかかっている。
 少々長めなので、読み終えるまで時間がかかるかもしれない。
 でも金曜日、16日には村上春樹の「1Q84」のBook.3が発売される。
 すぐ買って読まなきゃ(予約してないけど)。
 となると、「レベル7」は、どこかのレベルでいったん中断となるかもしれない。

 16日は、また、札響の定期演奏会の日だ。
 偶然にも、出し物は「1Q84」のなかで取り上げられていたヤナーチェクの「シンフォニエッタ」だ。
 演奏会場での私のかばんの中に、果たして無事ゲットできたBook.3が収まっているだろうか?