562407d2.jpg  《音楽も聴いた。老婦人はクラシック音楽のカセットテープを段ボール箱に詰めて届けてくれた。マーラーの交響曲、ハイドンの室内楽、バッハの鍵盤音楽、様々な種類と形式の音楽が入っていた。彼女が頼んだヤナーチェックの『シンフォニエッタ』もあった。一日に一度『シンフォニエッタ』を聴き、それに合わせて激しい無音の運動をした》

 村上春樹の「1Q84」Book.3の91ページ、今の青豆の生活を描いた一節である。

 まだこのころはカセットテープの全盛期だったなぁと、変なとところで感心する私。

 1984年の5~6年前に、SONYがエルカセットっていうのを発売した。Lサイズ(文庫本サイズ)のカセットテープとそれ用のデッキ。カセット並の操作性の良さと、オープンリール並の音質の良さが売り。

 でもほとんど陽の目を見ずに消滅ちゃった。
c9bfcefa.jpg SONYのページで写真を見つけたので載せておく。
 どのくらいの人が買ったんだろうなぁ。
 実は私は欲しかったんだけど……

 J.S.バッハ(Johann Sebastian Bach 1685-1750 ドイツ)の鍵盤音楽。
 そう一口に言われても、かなりの作品数だ。
 チェンバロ(クラヴィア)曲なのか、オルガン曲なのか……
 あるいは、アルヒーフ:バッハ鍵盤作品大全集みたいな、重厚家具的なセットが青豆のもとに届けられたのか?
 って、そんなこと考えることがナンセンスです。わかってますって。

7cfd22f2.jpg  そこで今日は、「6つのパルティータ(6 Partiten )」BWV.825-830(1725⇔31)。「クラヴィア練習曲集第1部Klavierubung,1 teil)」Op.1として1731年に出版された。

 6曲のうち第2番と第6番が6つの楽章から、他の4曲は7つの楽章から成る。

 ここではスコット・ロスのチェンバロによるCDを。
 1988年の録音。エラート。掲載したCDの写真は国内盤のもので現在廃盤。輸入盤は ↓ のように入手可能。

 スコット・ロスは、1951年にピッツバーグに生まれたが、30代後半から不治の病におかされ、1989年6月に早すぎる死を迎えた。

 このパルティータの録音は死の前年ということになる。
 彼はスカルラッティのソナタのすばらしい録音も残している(私は抜粋盤しか聴いたことがないけど)。

 青豆は独り、バッハの何を聴いていたのだろう?
 そして1984年といえば、まだロスも生きていた。