a6f8d941.jpg  おとといの水曜日。
 
 前日に続いて汐留で会議。
 夕方、これまた前日と同じようにゆりかもめの駅のあたりを歩いた。さすがにこの日は〇〇ランドの、100人斬り、じゃなくて、「名刺交換友だち100人できるかな」兄ちゃんには出会わなかった。

 そうそう、昼食は会議で出た弁当だったが、私はグワァ~と一気に食べ(そのせいで、そのあとおなかが痛くなってしまった)、YAMAHAまで行ってみた。
 なんかおしゃれ。
 でも、ちょいと暗い雰囲気。
 楽譜は以前と同じようにたくさん売っているが、CDは少なかった。
 なんとなく、居心地が悪いというか、落ち着けない店だった。慣れてないだけなのかもしれないけど。

 夜は丸の内オアゾの小松庵へ。
 私が行くと、店の女性がすごく懐かしそうに私を迎えてくれた。
 こういうのって嬉しい。
 前に、仮名ながらも、小松庵子なんて書いてすまなかった。
 店長も、亡霊を見るかのように驚いて迎えてくれた。
 わざわざ札幌から来てよかったと、ひしひしと感じる。いえ、小松庵に寄るために飛行機に乗ってきたわけじゃないけど……

 おいしい肴とそばを堪能。
 一緒に行ったのは東京支社の2人。
 私は彼らより一足先に店に着いたので、上に書いたような亡霊目撃みたいな感動的再会の挨拶をしたのだった。
 2人が来るまでの間、独りで“おかめ抜き”を注文しビールを飲んだが、店内にはバッハのインヴェンションが流れていた。
 う~ん、そば屋にバッハ。
 インヴェンションのピアノの音が、これまたしっくりと合っていた。
 
 東京の2人も満足してくれたようだ。
 ちなみに“おかめ抜き”というのは、“おかめそば”のそば無し。つまり、具である。
 岩のりとかまぼこ、しいたけとホウレンソウ、玉子。
 彩りがあるのに上品。あたかも、私が椀に収まっているかのようだった。

 昨日、6月に行われる札響第530回定期演奏会の1曲目で取り上げられるオネゲルの「夏の牧歌」について書いたが(曲のことはたった数行だけど)、今日は同じくその日に演奏されるサン=サーンス(Camille Saint-Saens 1835-1921 フランス)のチェロ協奏曲について。
 帰りの飛行機の中で、騒音にもめげずに聴いた。

 第1番イ短調Op.33(1872)と第2番ニ短調Op.119(1902)の2曲が演奏される。2曲といっても、時間的なことだけいえば、それぞれ20分弱の曲だから、2曲でも40分までかからない。あくまで時間だけのことだけど。

 ソリストはS.イッサーリス。
 私はサン=サーンスのチェロ協奏曲をこれまで聴いたことがなかった。
 そこで予習のためにCDを購入。
 CDのソリストは客演のために来札するイッサーリスその人。指揮はM.T.トーマス。オケはロンドン交響楽団。

 まず第1番だが、色っぽいというか官能的。両端楽章なんか絡み合いを想像してしまうほどHっぽい(何が絡んじゃったのかしら?)。
 独奏チェロは、あたかも恋人にじゃれつく女の子のようだ。いや、チェロという楽器の音の高さからすると「女の子」じゃなくて「男の子」でもいいんだけど、それは想像したくない。また第2楽章は、やさしくささやき合うような感じ。
 ただ、これはサン=サーンスの良いところであり、同時に優等生的な弱点でもあると思うのだが、あくまでも上品さを失わず俗っぽくならない。そこがオジサンには物足りない感じもする。こんなもんじゃないんだぜ、って……だって、CDジャケットのあの花を見てごらん。
 いやぁ、なんのことやら……

 第2番は、第1番の官能的に対して激情的。
 彼のホルンのための「演奏会用小品」の性格に似ているかもしれない。
 第2番もけっしてつまらない作品ではないが、第1番と比較すると演奏会で取り上げられる頻度はずっと落ちるそうだ。

 なお、第1番も第2番も各楽章は続けて演奏され、単一楽章の作品のようになっている。

 イッサーリスのチェロによるこのCDは、サン=サーンスのチェロ作品集。1992録音。RCA。