本日は2010年5月30日。
全国的に日曜日である。
今朝は、久しぶりにゆっくり寝ていようと思った。
そして、ずいぶん寝坊したような気がした。
バックライトで照らされているかのように、カーテンが明るく輝いていたからだ。
時計を見る。
あらっ?まだ4時半だ。
こういうとき、すごく儲けた気がする。
まだしばらく寝ていても、神様も仏様も閻魔様も私を許してくださるだろう。
ふだんのこの時間なら自動制御ロボットのように起き上がる私だが、今日はお寝坊さんになっちゃおう(といっても、私がお寝坊さんになったときでも、家族のほかの誰よりも早く起きる結果になるのだが)。
うとうと……
うとうとうと……
んっ?
泣き声が聞こえる……
うとうと……
いや、鳴き声だ。
うとうとうと……
マーラーの交響曲第1番の提示部、第1主題が頭の中に流れてくる。
うとうと……
♪ チャチャーン、チャチャーン……
うとうと……
♪ チャチャッ、チャチャッ……
うとうと……
うとうとうと……
うとうとうとう……
うとうとうとうとう……
とうとう起きた。
ガバッ!と起きた。 カッコウだ!
カッコウが鳴いてる!
夢ではない!
カッコウの声が聞こえる!
「お客さん、ひひっ、ナマの格好でっせ」という牛河的な声が聞こえそうな、生カッコウだ。
生声なのだ!
今年初めて耳にするカッコウの声だ。
でも、ディーリアスの「春初めてのかっこうを聞いて」のようなしっとりした世界ではない。
いま聞こえるのは、執拗にカッコウ、カッコウ、カッコウとこれでもかと鳴き続ける、元気な声だ。やっと鳴けるぞ、と喜んでいるような声だ。 私も喜ぶ。
良い声だ。
一緒に「カッコー」って叫びたいけど、品位と人格を疑われそうなので我慢する。
これで、“さつきみどり2号”の種がまけるぞ(インゲンの品種である)。
“菜々子”だってまけるぞ(コマツナの品種である)。
そしていま、私は喜びと感動にあふれた気持ちで、朝早くからこの文章を書いているのだが(珍しく当日記述。投稿はもっとあとになると思う)、窓を少し開けている。
カッコウの声が良く聞こえるように。
でも、あらあら、鳴きやんじゃった。
もう、カッ子ったらぁ~。 マーラー(Gustav Mahler 1860-1911 オーストリア)の交響曲第1番ニ長調(1883-88/改訂'93-96)。
この曲については過去にも書いているが、当初はJ.パウルの小説「巨人」に発想の根拠をおいた2部5楽章の交響詩として作曲され初演された(1889)。
しかし、第2楽章(「花の章」)を除いて4つの楽章から成る交響曲に改作した(交響曲としての初演は'99年)。現在でもこの交響曲が「巨人(Titan)」と呼ばれることがあるのは、そのようないきさつによる。
第1楽章の序奏部分で、すぐにカッコウの鳴き声を模倣した動機が木管群で示される(譜例.1)。このカッコウの声のモチーフは、この交響曲全体にわたって重要な役割を果たす。
また、ふつうカッコウの鳴き声の音は3度下降となるが、マーラーは1度間隔を開け、4度下降としている。
私が今朝、うとうとしながら頭の中で流れて聞いていた提示部のカッコウの声は譜例.2の部分である。
鳴き続けるカッコウの声を耳にしながら、マーラーのこの部分のカッコウ動機の鳴り方が、実に本物の鳴き方に似てるなとあらためて思った次第。カッコーー、カッコーー、カッコーカッコー。
楽曲の途中についてはここでは書くことを省くが、この交響曲の終りも、カッコッ!となっている(譜例.3)。
今日はレヴァイン指揮ロンドン交響楽団の演奏によるCDを。 レヴァインは1974年からマーラーの交響曲全集の録音に取りかかったが、第1番はそのシリーズのなかで2番目に録音された('74年8月)。レヴァインが31歳のときのことで、若々しい感性の演奏として話題となった。
いまでもこの演奏は輝いていると思っている。私はマーラーの第1番の演奏としては、ラインスドルフ盤とレヴァイン盤が好きである。
LPで最初にリリースされたときは、上に載せた写真と同じ写真(当時のレヴァイン(エマニエル坊やじゃありません)の写真)を使ったジャケット・デザインだったと記憶している(上に載せたのは、下に書いた、私が持っているCDの解説の裏表紙の写真である)。
現在販売されているのは、下に載せた2枚組のCDで、第6番とのカップリングである(私が持っているのも、この2枚組である)。
なお、このときのレヴァインのマーラー交響曲全集は、結局、第2番と第8番は録音されないまま終わっている。
それにしても今日は良い天気だ。
カッコーに温かな日差し。
プルーンの花も満開である(いまのタイミングで殺虫剤をかけなければ……)。
こんな日は、家でブログを書くに限る……紫外線を浴びないために。
いや、雑草取りをしなければ……
トラックバック一覧
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1. マーラー 交響曲第6番 レヴァイン・ロンドンSO
- [今でもしぶとく聴いてます]
- January 31, 2011 23:31
- 今朝車の運転席に座り、車内にある温度計を見るとマイナス3度(摂氏)を表示してい
コメント一覧 (4)
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- May 31, 2010 05:06
-
> LimeGreenさん
そうですよね、メイですよね。
カッコウ!
そのMAYも今日で終わりかぁ。MAYのうちにカッコウの声が聞けて良かった(今朝は今のところまだ聞こえないけど)。
「かっこうワルツ」は恐ろしいほど広く知られている曲ですね。音名まで書いていただきありがとうございます。
ただ私にはわからないのですが、ッはどの鍵を押せばいいのでしょうか?
すいません、タチの良くない冗談です。
-
- May 30, 2010 22:49
-
こんばんは、おじゃまします。レヴァインの若い、ほっそりした顔が新鮮でした。何週間か前、レヴァインのマーラー第6をちょっと探しまして、全集が完成したのかも分かりませんでした。(2、8以外は録音されていたとは)
別の回ですが、アイゼンシュタインさんが感化されてきているようで、影響力・コミュニケーションパワーに感心させられます。
-
- May 30, 2010 20:44
-
「かっこう」というとまずメイを思い出して(当たりまえか)、それから「カッコウワルツ」が頭にぐるぐるして離れなくなります…。
♪ミッド、ミッド、ミッソッソミドミレッ、ファッシ、レッソ、レッファッファレシレド♪
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新館入口(2014.6.22~)
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© 2007 「読後充実度 84ppm のお話」
© 2007 「読後充実度 84ppm のお話」
レヴァインは、第1番の頃の写真をみても、痩せていたことがわかりますよね。
数年前、カルメンを振ったDVDを観て、その体型の良さにびっくりしました。でぶちゃんですね、今は。
第6番もとてもすばらしい演奏です。この曲、私はショルティ盤が好きですが、それに次いで好きなのがレヴァイン盤です。
アイゼンシュタインは確かにちょっぴり感化されてきていますが、それ以上に感化されてきてるのがリリー・ボンソンとアルフレッドです。
コンサートに誘って、聴かせて(?)ます。