4a3c4b11.jpg  北海道もこのところ暖かな日が続いている。
 良いことだ。
 実に良いことだ。

 “ライラック祭り”はとうに終わってしまったが、ちょいと遅ればせながら、わが庭のライラックも開花した。
 このライラック、ご覧のようにちょっと色が濃い。私の性格とは正反対だ。
 こういう花色に品種改良(改良かどうかは知らないが)されたせいで、一般的なライラックよりも開花が遅いのだろう。何でもすぐに実行する(早とちりもする)私とは正反対だ。ぜひ見習いたい。

 下の写真のように、クリサンセマム(ノースポール)も元気に花をつけている。

 カッコウが鳴き、ライラックが花を開き、ノースポールが可憐に咲く。
 すばらしいではないか!

548f0786.jpg  でも、私は火曜日に積極果敢に受診した人間ドックで、いやぁ~な報告を受けているのだ。
 なんとなく不幸な気分だ。

 2カ月ほど前に、胃が痛いと漏らしていたことを、皆さんのご記憶に残っているだろうか?
 もちろん痛いともらしていたのは私。もらされていたのは皆さんである。
 その痛みは、全国から寄せられた皆さんからの善意の胃薬―3年前に病院でもらったのが、引き出しの奥に1袋残っていたから、など―のおかけですっかり良くなった。
 ところが、先週あたりからまた痛み出した。
 だいたい、午前10時ころから昼食までと、午後2時くらいから4時くらいまでがひどく、胃が重くかつキリキリとする。

 そして、人間ドックというだけはあって、ちゃんと機能していた。
 胃が引っ掛かったのだ。
 逆に言えば、これで引っ掛からないようでは、人間ドックのあり方自体がいい加減になる。

 午後の結果発表。

 呼ばれて診察室に入るや否や、医師の前にレントゲン写真が4枚貼られ、蛍光灯で裏から照らされている。
 ここで私が感じたことは、「やべっ!」ってことだ。

 医師が説明する。
 「血液は大丈夫です。胸部レントゲンも心電図も眼底も異常ありません。ちょっと尿潜血がありますが、これは大丈夫でしょう。聴力も問題ありませんでした」
 医師が、あえてバリウム検査と超音波の項目をとばしていることに、いくら動揺しているとはいえ、私が気づかないわけがない。私の前に呼ばれた人のX線写真が、何らかの理由―たとえば、あまりにも芸術的に良く撮れた、など―で、飾られたままになっているわけがないのだ。

 「で、ですね、問題は胃なんですが、バリウムが行きわたらないところがあったんです。どうにかなってるみたいですね」
 元気な私だったら、ここで医師に「おとというどんを噛まずに飲み込んだせいですかね」などと言うのだが、そんな空元気すら湧き起こらない。

 医師はここで、診断結果票をボールペンで指す。

 “胃粘膜下腫瘍 前底部 後壁”

 私の気持ちは釘が刺さったタイヤのようになった。
 「シュ、シュ、シュヨー?」
 50歳は老けこんだように呟いた私に医師が言う。
 「まあ、腫瘍といっても粘膜の下にできるもので、悪いものじゃありません。大きくなると障害になりますから一度胃カメラを飲んで調べてみましょう」
 「あの、これは急にできるものなんですか?」
 「いえ、そうでもないです」
 「去年のドックではそんなものはなかったのですが」
 「急にできないとは言いきれないかもしれませんね」
 「はい……」

 純粋で、繊細な私にはこれだけでも十分なのに、医師はさらに続ける。
 「それから、超音波で見ると膵管がちょっと太くなっているようなんです」

 私は太いミミズを想像してしまった。

 結果票には“膵管拡張 体部 3mm”とある。

 そういえば、かかりつけの医者が中性脂肪が高いと膵炎を起こしたりする、ということを言っていたのを思い出す。
 「これも再検査するようにお願いします」
 「はい、喜んで」
 あ~ぁ、消化器系2連発だ。
 胃痛と同時に、背中が痛んだのはこのせいだったのだろうか?

 ついでに言うと、今回は“肝血管腫 1個9mm”というのもあった。
 これもお初。
 肝臓の中の血管が塊になるそうで、「珍しいことなのですか」と私が聞くと、医師は「いいえ」と言った。事実、これは経過観察という診断。
 ただ、自然にできるが、自然に消滅することはないという。

 そのあと、さっそく胃カメラの予約と、胃カメラのあと膵臓のMRI検査を受けられるよう予約。
 予約を受け付けてくれていた保健師に聞いてみる。
 「腫瘍といっても悪いものじゃないって先生は言ってましたから、あまり深刻にならなくていいんですよね?」
 「う~ん、それは調べてみなきゃわかりませんね。だから再検査するんですよ」
 こっちの方が、はるかに筋が通っている。
 その再検査は、1週間後に行なわれる。

 仕事に戻る途中、気晴らしをしたくてCDショップに寄る。
 たまたま輸入盤のセールもしていたので、4枚買う。
 全部、マーラーの交響曲第1番のCD。
 このようにやることが極端で、期間限定で一途な私。

 昨日は日曜日の出張の代休。
 午前中はあらかじめ予定していた、住宅ローン借り換えの手続きをしに行って、午後は風も強くなってきたので、病弱な私はガーデニングもせずに、CDを聴く(すっかり病人モード)。

ec139f5c.jpg  今日はショルティ指揮シカゴ交響楽団の演奏を聴く。
 1983年録音。DECCA。

 すばらしいサウンドだ。
 そして、マーラーの青春の記念碑にふさわしい、輝かしくハリがある演奏。
 シカゴ響もさすがに上手い!

 でも、意気消沈気味の今の私には、まだ心からそれを全身で受け入れることができなかった。
 元気になったら、かなり好きな演奏に仲間入りすることは間違いない。

 でも、アタシ、元気になれるのかしラ?
 来年も、らいらっくの花を観ることがデキルノカシら?

 とすっかり、病気モードにどっぷり浸かって、自己陶酔している私である。