cf3d42dc.jpg  ディーリアス(Frederick Delius 1862-1934 イギリス)の「河の上の夏の夜(Summer night on the river)」(1912)(「川辺の夏の夜」と訳される場合もある)。

 この曲は、「春初めてのカッコウを聞いて」(1911)とセットで、「小管弦楽のための2つの小品(2 Pieces for small orchestra)」として出版されている(「河の上の夏の夜」が第2曲)。

 「小管弦楽のための2つの小品」は、オーストラリア出身の作曲家グレインジャー(Percy Grainger 1882-1961。彼の作品では「ヒル・ソング」第2番などがよく知られている)が、ディーリアスに「イギリスには優秀なアマチュア・オーケストラが多いので、小編成の作品をかいたほうが受けいれられるのでは?」と助言したことをきっかけに書かれた作品である。

 「春初めてのカッコウを聞いて」はディーリアスの全作品中でも特に有名であるが、「河の上の夏の夜」も、新商品の日焼け止めクリームのようなしっとり感抜群、もうべたつかない!って感じで、味わいある作品である。

 ディーリアスはパリから10kmほど南西にあるグレという村の邸宅で作曲の仕事をしていたが、毎年夏になると、その家の近くを流れるロワン川で舟遊びをしたという。
 この曲は、夏の夜のロワン川の情景を描いたものだ。

 日本楽譜出版社のスコア解説(伊藤剛氏による)によると、スイレンの上を飛び交う虫や、柳の枝が垂れた川岸、生い茂る木々の上に漂うかすかな靄(もや)が、繊細に表現されている3932aa2c.jpg という。

 曲は夕方の靄を描く弦で始まる。
 独奏チェロが主題を奏で、それが他の楽器へと受け継がれていく。
 音楽は徐々に小さくなってゆき(掲載譜の練習番号7にあるように、スコアにその指示が記されている。なお掲載したスコアは上述の日本楽譜出版社のもの)、木管がカエルの鳴き声をほのめかす(掲載譜の練習番号8)。

 今回はロイド=ジョーンズ指揮ロイヤル・シコティッシュ管弦楽団の演奏によるCDを紹介しておく。2002年録音。ナクソス。

 ディーリアスは交響曲を書かなかった。
 彼が交響曲を書いたならどのような作品になったのだろう。
 きっと魅力あふれるものになったに違いない。

§

 会社での昼休み。
 昼食のあと、トイレの洗面台で歯磨きをする人が何人かいる。

 食後の歯磨きは実に良い習慣だ。

 でも、私はできない。

 だって、場所はトイレである。

 いくらいつも清潔に掃除されているとはいえ、どことなくほのかに匂う。

 歯磨きをしているときに、大用個室のドアが閉まっていれば、その臭気はより新鮮さを増す。ギュルピー、ボンッ!みたいな効果音が鳴り渡ることだってある。

 そんな環境下で歯磨きをするなんて、私にはできない。

 でも、歯磨きは良い習慣だ。
 それを実践している人にとやかく言う気はないし、むしろ感心しているくらいだ。

 その歯磨きメンバーに、わが課の嘱託おじさん、俗称・えっちゃんが加わった。
 いや、加わったのか、そのときだけの気まぐれか定かではないのだが、とにかく私は1度だけ見かけた。

 そのとき、えっちゃんは歯ブラシをくわえながらおしっこをし、おしっこを終えると洗面台のところで歯ブラシを動かし始めていた。
 排尿ブラッシング……

 まっ、ヒトに迷惑をかけてないから別にいいんだけどさ。