e53c9ca4.jpg  昨日は予定通り歯医者へ。
 昔住んでいた地域にある歯科医院なので、今は通うのが大変である(つまりその後私は引越したということになる。カッコウの鳴く地区へ)。
 幸い歯周病治療なので、2ヶ月に1度の通院でいい。
 もし週1回通うはめなんかになると、とても無理だ。

 いつもなら衛生士のお姉さんと、和気あいあいに治療が進む。
 その治療というのは、歯磨きで磨き残しがないかのチェックと(あった場合は叱られるのだ)、刺繍ポケットの洗濯、ではなく、歯周ポケットのクリーニングである。

 当主であり、おそらくは絶対君臨者であるここの歯科医は、通常私には関与しない。
 私だって男の太い指で唇を引っ張られ、ときには指を突っ込まれるのはごめんだ。

 担当衛生士のカコさんが言う。
 「おかわりはありませんでしたか?」
 「ありました。今朝は2杯もおかわりしました」
 「まあやだっ、そんな冗談言ったらセンセイに言いつけちゃいますわよ」
 なんて、“蒲生邸事件”のふきさんとの会話みたいにはならないが、少なくとも殺伐とした時間進行ではない。

 しかし、この日はここで流れが変わった。
 「今日は久しぶりに歯茎の検査をします」
 ぎょっ!センセが来るのだ。
 歯茎の検査というのは、歯周ポケットの深さを測るものである。

 センセが来て、全ての歯に沿って針みたいな器具を歯肉に刺しながら深さを測って読んでいく。
  「2、2、1、2、2、2、2、3、1、2……」
 カコさんはそれを集計用紙に書き込んでいく。

 途中で医師が聞く。
 「ここ痛くないですか」

 上唇を引っ張られながら、私は答える。
 「こほって、くちゅびるのうらのこそですか?」
 「ええ」
 「そこ、きのうまちがうてかんでしもったのてす」
 「痛いですか?」
 「だいぞうぷてす」

 やっぱり親子丼を食べていて噛んでしまった場所が見つかってしまった。

 結論としては、歯周病の経過は順調。
 この場合の順調というのは、進行していないということである。

 センセが別な患者のブースに去ったあと、私はカコさんに聞いた。
 「実は先週から左上の犬歯が痛むんですけど、こんなこと聞いてすいませんが、この歯は私の歯でしょうか?」
 いいえ、他人の歯です、といわれたらまずいと思ったが、カコさんはそんな意地悪ではないのだ。

 「さし歯です」
 「でも痛むってことは?」
 「上の左側はすべて神経を抜いてますから歯が痛むってことはありません。きっと一時的に歯茎が炎症を起こしたか傷がついたりしたんでしょう」
 「はぁ」

 ということで、虫歯ではなかった。

 私の上の前歯の裏は、夜中寝ているときに力をいれて噛み締めているらしく、ガタガタである。

 そこで、このさし歯も新調することにした。
 あの犬歯もそれに含まれる。
 あばよ……、虫歯もどき(ただし治療は今月末になってから)。

 §

 かなり前に、タワーレコードのオンライン・ショップにハチャトゥリアンの交響曲第3番のCDを注文した。
 これだけだと価格的に送料無料にならないから、パガニーニの「24の奇想曲」のCD(1,000円)も一緒に注文した。
 これでトータル3,000円を超えたので送料無料である。

 ところが先週になって、こんな感じのメールが来た。
 「メーカー在庫切れのためお取り寄せ手配を終了し、ご注文をキャンセルとさせていただきます」

 あらあら、残念。

 で、昨日パガニーニのだけ送られてきた。
 こういう場合、送料はタダである。
 1,000円のCDを送料負担で送ってくれるなんて、タワーレコードも大変だなあ。

 そのパガニーニ(Nicoli Paganini 1782-1840 イタリア)の「24の奇想曲(24 Capricci per violino solo)」Op.1(1805頃)のCDだが、シェロモ・ミンツの演奏によるものだ(1981録音。グラモフォン)。

 この曲こそが、リストがピアノの練習曲用に改作したり、ラフマニノフが協奏作品である狂詩曲に使うなど、多くの作曲家を魅了したものである。

 ミンツの演奏を、私は1度コンサートで聴いたことがある。

4c24132c.jpg  1990年11月の札響第319回定期演奏会(指揮は尾高忠明)。
 バルトークのヴァイオリン協奏曲第1番を演奏した。
 私はこの第1番のコンチェルトが好きだし、当夜の演奏もなかなか良い演奏だと思ったのだが、会場からの拍手はいまひとつだった。
 しかしながら、アンコールはした。この、パガニーニの「奇想曲」の中の第5番である。

 翌月の札響定期のプログラムに、ミンツのメッセージが掲載されていた。
 札幌の聴衆には、まだバルトークのコンチェルト、それも第1番は“難しかった”か?……

 私は「奇想曲」を、そう多くの演奏で聴いたことはないが、このミンツの演奏は大きな話題になったのがうなずける名演である。