54d7fa26.jpg  カエル君はけっこう頭がいい。
 バラの下の方の枝に隠れて、虫が来るのを待っている。

 いや、ただウトウトしているだけかな……

 ミミエデンが咲き始めた。
 庭植えだと雨に当たって花が茶色っぽくなり、開かないまま終わってしまうことがある。

 そこで今年は鉢上げしてみた。
 水やりを忘れないようにしなきゃならないが、花を見るためだ。バララー(バラを育てる人という意味の、いま勝手に作った言葉)としては仕方ない。

 そうして玄関ポーチに置いて、雨が当たらないようにしていたら、やっぱねぇ、ちゃんと咲いてくれた。実にお姫様的な根性の持ち主だ。彼女にとっては屋根の下がエデン(楽園)ってことか。

7fc6466f.jpg  スィートメリナも開花(写真下)。
 このバラは写真の状態がいちばん美しい。
 開いちゃうとだらしない姿になってしまう。

 で、話は極端に切り替わる。

 さぁ、たまには頭の体操だ。

 問題1:次の文章を読んで、〇〇〇〇〇にあてはまる人物名を答えなさい。

 《「ロシアのバッハ」として、ラフマニノフやチャイコフスキーも一目置いていた〇〇〇〇〇の交響曲をお聴きください。未完に終わった第2番の交響曲は、モスクワ音7a07fc93.jpg 楽院の学生だった時に書きはじめられた若書きの作品です。教師であったチャイコフスキーは1875年に書きあげられた第1楽章で彼の天分を認め、全曲書きあげるように説得したのですが、結局2年経っても完成せず、1877年に終楽章のスケッチが出来ただけでした》(ナクソス盤CDの帯の文章より)

 問題2:問題1の〇〇〇〇〇を踏まえ、次の文章を読んで、◇◇◇◇◇にあてはまる人物名を答えなさい。

 《〇〇〇〇〇は自分の交響曲を発表しようと決心した。(ピアノで)〇〇〇〇〇が自作の交響曲を演奏した家の主人は、若い◇◇◇◇◇を隣室に隠しておいた。 〇〇〇〇〇は演奏を終わり、ピアノの前から立ちあがると、客たちにとりかこまれた。人々が口々に祝辞を述べたのはいうまでもない。そして一家の主人は、儀礼的なお世辞を言ったあと、不意につけ加えた。「ここであなたに、有能な若い人をご紹介したいと思います。彼もやはり、つい最近、交響曲を書きあげたのです」。これはどういうことなのか。 ◇◇◇◇◇が隣室から連れ出された。「自分の交響曲をお客さまにお聞かせしなさい」と主人は◇◇◇◇◇に言った。◇◇◇◇◇はピアノに向かい、〇〇〇〇〇の交響曲を最初から最後まで、しかもドア越しに、再演してみせた。彼はその曲をついいましがた、はじめて聞いたばかりであった》(S.ヴォルコフ「ショスタコーヴィチの証言」より)

 さあ、わかりましたでしょうか?

 間違いなく、アイゼンシュタイン、アルフレッド、ファルケ、ベリンスキー、ナシニーニ、干潟しじみはわからないだろう。興味も関心もないから。それにしてもこう名前を羅列すると、「怪獣総進撃」みたいだなぁ。

 〇〇〇〇〇に入るのはタネーエフである。
 タネーエフ(Sergei Ivanovich Taneev 1856-1915 ロシア)。
 モスクワ音楽院でピアノをN.ルビンシテインに、作曲をチャイコフスキーに学んだ。ピアニスト、作曲家として活躍し、母校で教鞭をとり、対位法の理論家として知られたという。
 でも、21世紀になった現在、あまり知られていない。

b29b7d24.jpg  交響曲は全部で4曲書いており、3楽章構成の交響曲第2番変ロ長調(1877-78)の第3楽章はスケッチのみが残されており、このナクソス盤ではウラディミール・ブロクという人が1977年に補筆完成した版を用いている。

 またこのCDには併せて交響曲第4番ハ短調Op.12(1896-97)も収められており、同じくその帯には《タネーエフの最も素晴らしい管弦楽作品の一つです。当時多くの重厚な作品を発表していたタネーエフは「ロシアのブラームス」とも呼ばれていて、彼自身はその呼び名は嫌いだったそうですが、書式の厳格さや曲の持つ雰囲気は、確かに両巨匠に共通する部分もありますね》と書かれている。
 「ありますね」って語りかけられても……

 この2つの交響曲を聴く限りでは、確かにロシアロシアした作品であり、ちょいとばかり「おやっ、いいじゃん」と思わせてくれるところもあるが、全体的にはのびかけたインスタントラーメンのような味わいである。しかも、あいにくコショウを切らしてしまっていて、ちぇっ!

 バッハと呼ばれたりブラームスと呼ばれたり、なかなかご存命中はたいしたもんだったようだが、CDの帯に書かれているキャッチ・コピーの、《アントン・ルービンシュタインに「だめだね」と言われるとその曲は後世に残る名作になるのかもしれません》っていうのは、はて、どうなのかと……

 グラズノフ(Aleksandr Konstantinovich Glazunov 1865-1936 ロシア)の交響曲がもつ雰囲気に似てなくもない。心を揺さぶるに必要な何かが欠けているという点で。

 で、◇◇◇◇◇はグラズノフのこと。
 “問題”として載せた部分は、要するにグラズノフの才能はすごいものだったという、ショスタコーヴィチの回想である。偽書らしいけど、これ。
 グラズノフは交響曲を9曲書いたが(第9番は未完)、その音楽的才能は交響曲の分野においては発揮できたとは言いがたい。

 タネーエフのCDの話に戻ると、私がいちばん良いなと思ったのは、第2交響曲の終楽章(第3楽章)。皮肉のつもりはまったくないけど、人の手によって補筆完成された楽章である。
 あと、第4番の終楽章もちょっぴり良かったかな。

 このCD、トーマス・ザンデルリンク指揮ノヴォシビルスク・アカデミック交響楽団の演奏。
 2008録音。さっきからさんざん書いているように、レーベルはナクソス。