昨日の土曜日。
朝はいつもより少し遅く目覚め(朝刊配達員ならクビになるぐらいの時刻)、「こらこらお寝坊ちゃん」って感じだが、そう言ってくれる人はおらず、というのもなんだかんだいってそれでも家族内では私がいちばん早起きだったし、そうでないとしてもそんな言葉かけてくれないし、かけてもほしくないわけで、そのあと無性にざるそばが食べたくなったので、朝からそばをゆで、おなかを満たした。
そのあと、しばらくほったらかしにしていたバラちゃんたちの様子を見に行くと、あらまぁ、ずっと美容室に行っていないオバサンの髪の毛のように枝が伸び放題。
地面に落ちた花びらは昔の線路わきに落ちていたチリ紙のように汚く、つまりは庭は貧乏ったらしい様相を呈していた。
実際に貧乏なんだから、せめて庭ぐらいは貧乏ったらしくしないでおきたい。
ということで、久々にガーデニング作業員を半日務めることとした。
帽子をかぶり、革の手袋をし、長靴にはきかえる。
久々の仮装、いや作業態勢に身が引き締まる思いだ。
作業準備のためにまずはセブンスターを一服。
あと20日でこいつが1箱440円になるという現実をまだ素直に受け入れられない。
それはそうと、このとき、たいしてタバコを吸いたかったわけじゃないけど吸ったのは、すぐに剪定ばさみを持つ気分にならなかっただけだ。カニを食べる時にまずは鋏を持ってやや殺気立つのとは正反対だ。 おや、クレマチスのドクター・ラッペルが咲いている。
こいつ、春には1輪も花をつけなかったのに、今頃になってお世辞にも清楚とはいえない派手な花を咲かせてる。遅い!咲くなら春から咲け!
お盆過ぎからのバラの花盛りは、またまたひと段落。
いま蕾を持っている株は全体の半数ぐらい。
写真はマチルダだが、開く少し前のこの状態がいちばん美しい。
昔のクリスマス・ケーキの、バター・クリームで作られたバラの飾りを思い起こさせる。
喜久恵堂のクリスマス・ケーキ、なかなか美味しかったな(かつて西区西野にあった菓子店。今はもうない。とっくにない)。 半袖シャツだったので、剪定中にまたまた腕をトゲで傷つけてしまった。
どう、この美しい肌へのアクセント。この構図だと足首にも見えなくないな……
半日で作業を終え、家に入る。
それにしても長靴を脱いだ時のこの開放感って、なんと表現したらいいのだろう。こんなんだから、もし生まれ変わることがあったとしても、私、長靴の内底にはなりたくない。
昼ご飯を食べながら、たまたまTVをつけると「変身」という映画が放送されていた。玉木宏と蒼井優が主演だ。
玉木宏がグレゴール・ザムザで、蒼井優が妹役となって、カフカの不思議な世界を描いた映画なんだろうか、などとありえない想像はしなかった。最近少し素直になったような気がする私。
で、何となく最後まで観てしまった。
やっぱり蒼井優って演技が上手だなと思った。
そのあと、「あっまずい、ブログの記事を書きためてないな、週明けも出張があるし」と急に危機感に襲われ、(TVを観ちゃったせいで)2時間遅れでこうやってキーボードと戯れている。
遅いといえば、テンポが遅めの設定で有名なのが指揮者のチェリビダッケである。
チェリビダッケが指揮する演奏を一度だけ生で聴いたことがある。
1986年10月12日。ミュンヘン・フィルの札幌公演。当時はまだKitaraなんてなくて、北海道厚生年金会館(今や愛称“ニトリ・ホール”)が会場だった。
出し物はベートーヴェンの「エグモント」序曲、シューマンの第4交響曲、ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」(もちろんラヴェル編のもの)。
いやぁ、チェリ/ミュンヘン・フィルの演奏を堪能するには最高のプログラムだ。
おまけにアンコールでドヴォルザークのスラヴ舞曲のOp.46-8も演ってくれた。
で、私はこの夜初めて、本場ドイツのオーケストラの音って違うなってはっきりと実感した。それ以前に、ドイツのオーケストラを生で聴いたことがなかったから……。はははっ! コンサートのときにはさほど感じなかったのだが、チェリビダッケがこのときと同じミュンヘン・フィルを振った「展覧会の絵」のCDを聴いたときには、「うぉっ、遅っ!」ってびっくりした。
遅けりゃいいってもんじゃないが、クセになるのは事実。そのクセが習慣となる人はチェリにはまるんだろう。でも、私のように某店のチェリーちゃんは好きだけどチェリはちょっと、というのと同じ感覚の人もいる。
そのCD、1993年のライヴ。もちろん正規音源(EMI)。チェリビダッケが亡くなる3年前のコンサートということになる。
鈴木淳史は「萌えるクラシック」(洋泉社新書)で、特に晩年のチェリビダッケの演奏したものは少しも前に進む気力を感じさせず、ただ広がるばかりなのである、と書いているが、確かに無気力的気力という感じはする(その点では、私の日々と一致する)。
そして鈴木氏が指摘するように、これがまた聴く者に恍惚感を与えちゃうのだ。
ところで、超有名曲であるムソルグスキー(Modest Mussorgsky 1839-81 ロシア)の10曲から成るピアノ曲、組曲「展覧会の絵(Tableaux d'une exposition)」(1874)は、ムソルグスキーの友人で1873年に亡くなった画家のガルトマンの、1874年に開かれた追悼展覧会の印象をもとに作曲された。
プロムナードとつけられた、展示してある絵と絵の間を歩み進む音楽が最初と第2、3、5、7曲の前に置かれている。
なお、ラヴェルはロシア生まれの指揮者クーセヴィツキーに依頼され、このピアノ組曲の管弦楽編曲を行なったが、ラヴェルは第7曲の前のプロムナードを省略している。
ムソルグスキーが作曲したのは、
1. こびと Gnomus
2. 古城 Il vecchio castello
3. テュイルリー Tuileries
4. ビドロ Bydlo
5. 殻をつけたひなどりの踊り Ballet des poussins dans leurs coques
6. サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ Samuel Goldenberg et Schmuyle
7. リモージュの市場 Limoges,Le marche
8. カタコンブ Catacombae
9. 鶏の足の上の小屋 La cabane sur des pattes de poule
10. キエフの大門 Le grande porte de Kiev
だが、その後の考証によると、実際には第2、4、7曲に相当する作品が展覧会のカタログに載っておらず、また第1、3、8曲の原画も不明だということで、ムソルグスキーが追悼展示会での作品を忠実に音楽にしたということではないようだ。
さて、チャリビダッケの「展覧会の絵」のCDだが、たまに無性に聴きたくなる魔力を持っている。ただし、今日は暇で暇で、な~んにもすることないもんね、っていう脱社会的な状況下に置かれているとき以外は、イライラが募る恐れもある。
ちなみに、ショルティがシカゴ響を振った「展覧会の絵」(1980録音。デッカ)と比べると、
最初のプロムナードの演奏時間はショルティが1'39"であるのに対し、チェリの方は2'33"。
第1曲の「こびと」はショルティ2'28"、チェリ3'30"って具合である。
なお、ラヴェルの「ボレロ」がカップリングされているが、そちらはすっごく遅いってほどではない。このテンポなら、たとえば熊川哲也氏なら合わせて踊れると思うが、彼のイメージに合う演奏でもない。(1994録音。ライヴ)。
こういう演奏、空港のレストランなんかで流したら、今か今かとエサを待ちわびているのご搭乗予定のお客人たちはペースが乱されて、いや嫌がらせを受けてる思いにとらわれ発狂してしまうかもしれない。
新館入口(2014.6.22~)
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