669fb043.jpg  土曜日に、金曜日に行なわれた札響第534回定期演奏会の感想を書いたが、その中で、私が初めてチャイコフスキーの交響曲第4番を生で聴いたときのことについてちょこっと触れた。

 「触れるだけでいいの?」ってことで、欲求不満になっている読者様がいると気の毒なので、今日はもう少し詳しく書きたいと思う。

 そのとき札響を指揮したのはフベール・スダン(Hubert Soudant。現在ではユベール・スダーンと表記されることの方が多いのかもしれない)。
 このときが初来日で、札響のほかにも、新日本フィルを振ったようだ。

 スダーンは1946年生まれ(オランダ出身)だから、この演奏会のとき(1975年)は、まだ30歳前の新人指揮者だったことになる。単純に考えれば29歳であり、偶然にも今回の札響定期を振ったゲルゴフと同い年だったってことだ。

 スダーンの指揮によるチャイコフスキーの第4交響曲に、これは曲が発奮作用を持っているのか(そのころは私にとってかなり好きな曲の1つだった)、それとも本当に演奏が凄いんだかわからないが、私はとにかく熱狂してしまった。当時の札幌市民会館に、こりゃ空間不足だって感じで音が満ち満ちた。

 定期演奏会はもちろん有料だが、その2週間ほどあとにスダーンが再び来札。第2の定期演奏会と言われる無料の“北電ファミリーコンサート”でも、チャイ4を指揮してくれ、やっぱり燃えた……

 そういう思い出……

 スダーンはこの初来日のあと、都響や日本フィルからも招かれたというが、1999年には東京交響楽団の首席客演指揮者になった。この間、1995/96年のシーズンからザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団の首席指揮者に就任している。

 ところで今回の定期演奏会があった12月10日の午前中、私は歯医者に行かねばならなかった。例の詰め物を入れに行く日だったのだ。
 治療が終わっあと(ひどく痛かったぜ)、ちょいと内緒だけど玉光堂の4丁目店に寄ってみた(だってどうせ通り道なんだもん)。
 この店では最近、中古CDやアウトレットCDの販売も始めた(中古買取りも開始)。

 「どーれ、何かめぼしいものがないかな」と棚を見ると、おやっ?ブルックナーの交響曲第4番の輸入CDが、アウトレット(もちろん新品)ということで550円で売られている。手に取ってみると、どこかで会ったことがあるようなおじいさんの写真……

 おぉ、名前を見たらスダーンではないか!

 チャイコの4番が演奏されるコンサートを聴きに行く日に、かつてその曲で私を興奮させたいけない青年のCDが、いま私の手の中にある。しかもあの日の夜と、この日の夜の指揮者は29歳つながり(そのときはゲルゴフの歳は知らなかったけど)。

 これは偶然とは思えない。奇蹟とは思わないまでも、何か運命めいたものを感じる。
 CDは同じ4番でも、チャイコフスキーじゃなくブルックナーだけど、こうなったら棚に戻すなんてバチ当たりなことはできない。そんなことしたら、また冬道で転びそうだ。

 そして、実はあまり期待しないで聴いてみた。
 期待しないでというのは、私の勝手な思い込みだけど、スダーンとブルックナーって何か結びつかないような感じがしたから。スーダンと雪だるまぐらい……

 そのブルックナー(Anton Bruckner 1824-96 オーストリア)の交響曲第4番変ホ長調WAB.104「ロマンティック(Romantische)」(1874=ノヴァーク第1稿/'78-80=ハース版,ノヴァーク第2稿)。 

 聴いてみて、けっこう驚かされた。
 おじさんくさくない、シャキンとした演奏なのだ。変に重々しくなく、かといって決してピーマン的じゃない。
 予期せぬ歓喜!期待の上方修正!

 ちょっと調べてみたら、スダーンはブルックナーをけっこう得意としているという。日本でも東響で何回も指揮しており、東響とのCDが出ていることも知った。

 うん、納得。
 これまでいろいろな演奏を聴いてきたけど、この間延びしない締まった演奏は、私にはすごく新鮮に感じた。

 私が買った第4交響曲のCDは1998年のライヴ録音。オーケストラはザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団。使用している版は1878-'80のもの。OEHMS CLASSICS。
 

 CDジャケットを見たとき“おじいさん”って思ったと書いたが、スダーンはまだ64歳。まだまだ若い。そして、この写真の姿は、ちょいと変わってしまっていても、間違いなくあのときの“フベール・スダン”だ。
 自分もこういうような年の取り方(風貌の変化)ができればいいなぁと思う。CDジャケット左上のようなのは、んーっ、と悩む以前に、勘弁してちょ!