49cc9dfa.jpg  私が午前中に散髪に行った2月11日は、いろんなことが凝縮されたかのように起こった1日 であった。こういう場合、「いろんなこと」というのは、ほぼ「よくないこと」と同義である。

 床屋から帰って来て、昼過ぎに次男を車に乗せてニトリへ行くことにした。
 ニトリというのは、あの「お・値段以上」と宣伝しているニトリである。今シーズンからファイターズの選手の股間の横にロゴがへばりついている、あのニトリである。

 家を出発して5分ほどしたとき、いきなり車が重機みたいな音を発し始めた。
 重機が後ろにぴったりついて煽っているのかと思ったほどだ。
 だが、ルームミラーを見ても、後ろには象の子一頭いやしない。

 車を停め、外から観察。

 車の下から音がする。

 見ると、マフラーへの排気管が完全に外れている。
 やれやれ……

 行き先をニトリから急きょスバルへと変更した(これでわかるように私が乗っている車はマセラティではなくスバルなのだ。五反田君よりも“僕”に私は近いのだ)。

 スバルへ向かう途中は、自分が意に反して暴走族の仲間に引き込まれたような気になった。
 アクセルを踏み込むと、ドドドドドッ!って爆音がする。
 水平対向エンジンだからなおさらなのかもしれないが、世間から冷たい目で見られているようでひどく恥かしく、また申し訳なく思う。

 スバルに着く。
 管が腐食して途中で折れてしまった状態だ。
 見積もりで5万円。
 やれやれ。
 私の気持ちもすっかり折れた。でも、直さないわけにはいかない。

 部品は翌日の夕方に届くという。
 「じゃあ、あさっての朝に持ち込みますから、今日は乗って帰っていいですか?」
 「暴走族と同じなので、警察に見つかるとまずいですけど……」
 「でも、これから私はお値段以上のものを買いに行かなくてはならないのです」
 そう言って、スバルを後にした。

 ドドスコ、ドドスコとブイブイ言わせながらニトリに着く。

 次男は4月から東京の大学に行く。
 そこでベッドだの何だのを買いに来たのだ。
 次男の学生生活なのだ。ニトリでも十分すぎるくらいだが、さすがにベッドはダイソーにはない。そのうち100円ショップでは扱いきれないようなものを扱う、1000円ショップなんかができればいいと思う。

 ソファーベッドを買おうとしたが、展示品限りと表示してあった。息子が引っ越すのは3月末だが、そのベッドは「お預かり期間最大1ヵ月」とも書いてある。

 そこで店員を呼ぶ。

 「来月の末に東京へ配送したいのですが大丈夫ですか?」
 「もちろんでございます」

 若くて物腰が丁寧過ぎる若い男の店員が答える。ふ~ん、ニトリの接客の雰囲気も昔と変わったものだなぁ。

 「ここに、最大1ヵ月までしか預かれないと書いてますが、それを越しちゃうんですけど……」
 「大丈夫です。そういうお客様はたくさんいらっしゃいますから。それよりも、迷っているうちにこの最後の1台が売れてしまうかもしれません。このカードを持っておいた方がよろしいですよ」
 たいした丁寧だ。なんでも対応いたしますよ、お任せ下さいという感じ。
 これが「お・値段以上」の秘密か?

 こうして他の家具も何点か見て、サービスカウンターへ行く。
 そして、ベッドの商品カードを示して、配送を頼むと、白髪が相当混じったおばさん店員がニコリともせずに言った。
 「これは展示品限りですから、海を越えての配送はできません」
 「でも、ベッド売り場の店員さんが大丈夫と言ってましたよ」
 「いえ、できません」
 その女店員の方が正しいのかもしれないが、私たちを騙した男性店員と接触するわけでもなく「できない」の一点張り。そして何より、(他の者が)間違った説明をして申し訳ありませんでしたの一言がまったくない。しかも時折、こちらが言っていることが聞こえないようなそぶりすらみせる。
 あれ、怒る客なら相当怒る。私は紳士だから怒らなかったけど。
 あの女性店員、かなり不愉快。
 お・値段以下どころか、客前に出してはいけない!

 そんなこんなで、また暴走音行為を継続しながら家路へ。
 途中、K'sデンキに寄って、家電類を買う。
 ここの女性店員は実に丁寧。あの煮鶏店員とは偉い違いだ。

 あぁ、疲れた1日だった。

8ec3a132.jpg  13日に再びスバルに行き、修理。
 あぁ、この車、こんなに静かだったのねと、ほっとした。

 ほっとするといえば、先日ちょっと触れた、エリシュカ/札幌交響楽団によるドヴォルザーク(Antonin Dvorak 1841-1904 チェコ)の交響曲第5番ヘ長調Op.76,B.54(1875)は、耳にしていて心が解放されるかのような演奏。ほっとする。
 札響もこういう演奏をするようになったのかと思うと、感慨無量である。私がそうなる必要はないんだけど。
 その札響も、今年で50歳になる。

 2月15日の朝は冷え込んだ。
 写真の通り、霧が枝に凍りついている。
 やっぱ、春は遠い……