850f09ae.jpg  これは、このあいだの土曜日から月曜日にかけての沖縄出張についての記述である。

 土曜日、羽田からの沖縄便はほぼ満席状態であった。
 予約をとったときにはたまたま周辺のシートが空いていた、最後部から2列前の座席を私はキープしていた。しかし、なんのことはない、当日の機内はぎっしりと規則正しく席が埋まっていた。出来の良いトウモロコシの粒のように。

 私は通路側をとっていたが(いつも通路側をとる)、それでも出発ギリギリまで私の隣の席には誰もこなかった。もしかするとラッキーなことにここだけ空くのかしらんと期待していたが、事態は良くない方向に。背が高い青年風欧米人がやって来たのであった。

 彼がこちらに向かって来ている時点で、最後部に4人並んで座ってる観光客以外の何者にも見えない若いお姉ちゃん4人が、「うわぁぁぁ~、見て!見て!かっこいい~」とひそひそではなく、けっこう大声でしゃべり始めた。その興奮状態は、すぐにでも体を許してしまいそうな勢いである。やれやれ……

 そして、彼は私のところへ。
 中の席に通してあげるために私は立ち上がった。当然のことながら、彼と私は一瞬並んで立つことになった。

 すると、あの姉ちゃんたち、「見て見て!すごく大きい。隣の人よりずっと背が高くてかっこいい」

 隣の人とは私だ。
 悪かったね。
 なんで私が比較対象にされなきゃならないんだよっ!
 それに私だって一応は身長が174.5cmあるんだよ。
 背が高いからってなんだよ。物入れを開けた時に頭をぶつけるリスクが増えるだけじゃないかよ。

 やれやれ……

 こうして飛行機は那覇空港に着いた。那覇行きだから当たり前だが、こういう当然と思われることでも、機長が気まぐれで行先を変えなかったことに感謝したい。

 那覇空港にはアルフレッド氏たちが迎えに来ていて、そのまま名護へ。
 名護のホテルについて、すでに報じたように、部屋でインターネットが使えないことが判明したことで必要以上に私は困惑し、でもおなかがすいたのでみんなで食事に行った。

 店を選定してくれたのはアルフレッド氏。
 地元ではけっこう有名らしい「大家(うふやー)」という店。店は年代物の建物といった風格があり(自然な造りなのか、そのように模して作ったのかは知らない)、なかなか外見の雰囲気が良い。
 案内された2階席は、窓の外が山の斜面のようになっていて、小さな滝がある。
 素敵なようだが、暗くなったら水の音しかしない。当たり前だが。

 夜はコース料理しかなく(一品料理は数点のみ)、酒飲みの私たちとしてはどうも馴染めない。ツアーで来て、イナゴの大群のように腹を膨らませるにはいいのだろうけど……。5人で行って、蒸ししゃぶしゃぶ3人前と長寿鍋2人分を頼み(人数分のコース料理を頼まなくてはならない決まり)、食べ終えてしまったので1時間ちょっとで退散。
 どこかで飲み直そうかとも思ったが、結局コンビニで各自アルコールを購入し解散した。

 翌日の昼はまたまた“よしこそば”。今月に入って2回目。なかなか熱心な客である、私は。

110cd18d.jpg  そのあとちょいと足を延ばし、ついに“ハブとマングース”ショーをやっている建物へ。
 ついぞ敷地内に侵入し、車を停め、いざ!と思いきや、次のショーまで1時間ある(私たちが着いたのは12:30.次のショーは13:30から)。併設のおみやげ店で時間をつぶそうとしたが、5分でつぶしきってしまった。
 どうしても見たいと訴えるアルフレッド氏を説得し、ショーを見るのはあきらめることにした。

 ところで私は(そして他のメンバーも)気づいた。
 上の写真を見ていただきたい(CDの写真ではないことはもちろんである)。
 正面の上に掲げられている黒地の横長の看板。これはけっこう年数が経っている看板のようだが、「ハブvsマングース」と書かれている。
2584ec28.jpg  しかし、地面に置かれている看板(新しそうだ)には「ハブ&マングース」と書かれている。
 つまりは、“vs=対決”が、この平和な時代になって“&=と”になったのだ。ハブとマングースの絵も、こちらではすっかり愛玩動物風に描かれている。

 つまり、両者は様々な人たち(動物愛護団体など)の説得の結果、友好的な関係を築くことに成功したのだった。
 ということで、結局私にとってもハブとマングースのショーは縁のないものだったようだ。
 それにしても、下の写真の看板のように、本当に「感動体験」で、「スゴイ」のだったんだろうか?

 帰路、名護パイナップル・パークに寄る。
 パイナップル号に乗って、アルフレッド氏も気持ちを取り直したらしく、元気になった。めでたし、めでたし。

c0cfbc65.jpg  そうそう、名護市内で入った某直売店。
 クレジットカードが使えるというのはわかるけど、お茶目である。描くのたいへんだったろうな……
 
 今回沖縄の地では、フランセは聴かずに、ファリャ(Manuel de Falla 1876-1946 スペイン)のバレエ「三角帽子(El sombrero de tres picos)」(1918-19)を聴いてみた。単純に「南国っぽいかな」という、実に奥が深くない発想である。

 2幕から成るこの曲については、以前プレヴィン盤を紹介しており、そのときに楽曲についても触れている。今回はデュトワ/モントリオール交響楽団による演奏を持って行った(1981録音。デッカ)。

 プレヴィンの演奏は軽快でとても楽しめる演奏だが、デュトワの方はより音楽作品としての表現を重視しているような感じだ。ちょいと重いと感じる人もいるだろうが、私はデュトワ盤の方が実は好きである(プレヴィン盤を紹介したときにはデュトワ盤よりプレヴィン盤の方が好きだったんだけど……)。

 で、沖縄の風土とファリャの音楽はしっくりといったか?

 いったような、そうでもないような、結局はわからなかった……