私も昔はけっこうブルックナーを聴いたものだが、最近はそれほど聴かなくなった。
昔というのは、ブルックナーの音楽を知ったのはマーラーを知ったのと同じころで、当初から私はマーラーの方が好きだったものの、そしてブルックナーの延々と続く(ように感じられる)音楽に退屈な思いもしたが、それでもブルックナーは好きな作曲家であった。
それがいつの間にか、マーラーは相変わらずしょっちゅう聴いていて未知の演奏を聴くのも楽しみにしているのに対し、ブルックナーのCDを買うことはめっきり少なくなってしまった。
一歩一歩(自然死ということでは間違いなく)死に向かっているのだから、神の音楽のようなブルックナーに徐々にでも親近感が増してもよさそうなのだが、やっぱりキリスト教信者じゃないせいか、あるいは私におかれましては天国ではなく地獄に向かっているせいか、彼の音楽を一層好きになるどころか、ちょいと後退気味である。
大学生の頃、ひょんなことからある牧師さんと話をする機会があったのだが、その人はブルックナーが好きだと言っていた。なんかよくわからないが、すごく納得した。牧師さんにはブルックナーが合う感じがしたから。
その人は若いころはマーラーが大好きだったのに、ブルックナーの音楽に触れてからマーラーの音楽を聴く気にならなくなったと語っていた。
今回、昨年のPMFで演奏されたブルックナーの交響曲第7番のCDが手に入ったので聴いてみた。先日紹介したマーラーの第5交響曲のCDと一緒にいただいたもので、タイトルは「ハーモニー・オブ・ピース vol.20」。2010年7月31日にKitaraで行われた演奏のライブ録音(マーラーのときと異なり、この日一発の収録)で、指揮はファビオ・ルイジ(オケはPMFオーケストラ)。
PMFのブルックナーといえば、第1回のときにバーンスタインが第9交響曲を振る予定になっていて、相当楽しみにして行ったのだが、プログラム変更。ひどくがっかりした経験が私にはある(そのころはまだブルックナーがけっこう好きだったのだ)。
イタリアはジェノヴァ生まれのファビオ・ルイジという指揮者について、私はなじみがない。
PMFには2004年に客演、'08年に首席指揮者として指揮台に立っており、昨年からPMF芸術監督となったが、私は一度もルイジの演奏を耳にしたことがない。
つまりこれがルイジ初体験。
ブルックナー(Anton Bruckner 1824-96 オーストリア)の交響曲第7番ホ長調WAB.107(1881-83)は、その第2楽章がR.ワーグナーの死を予感して作曲が進められたとされており、1883年にワーグナーの死の報を受けると、追悼曲として仕上げた(ブルックナーはワーグナーを最も尊敬していた)。
ブルックナーの交響曲の響きには、非常に骨密度が高い大腿骨のようにがっしりとした部分と、ロリロリ・スイートのような官能美の部分があるが、ルイジの演奏はバランスが甘美さ側に寄っている。作曲者のロリコン趣味にスポットを当てたのか?それとも、陽気なイタリア人気質をルイジは隠し切れなかったのか? ところで、ワーグナーの追悼曲にしたというこの曲の第2楽章のフレーズは、シュニトケの「ピアノと弦楽のための協奏曲(ピアノ協奏曲第2番)」に露骨に出てくる。
実はシュニトケのこのコンチェルトについて書いたとき、私はそのフレーズが何だったか思い出せずに悶々としたのだが、いまはこのように気づき、すっきりしている。
美しく、そしてなぜかすごく懐かしく感じられるこの引用。狙いは私にはよくわからないが、シュニトケは“ワーグナー”という視点から行なったのかもしれないな、と思いつつある今日この頃の私である。
「このCDは宝くじの普及宣伝事業として作成されたものです」と表記されている。
私がくじけずにいつも買い続けている宝くじの代金がこのように使われていると思うと、私も世の中の役にたっているんだなぁと思う。役に立たなくてもいいから当てて欲しいけど。
でも、CDをかけたら最初に「このCDは、宝くじの普及宣伝事業として助成を受け、作成されたものです」っていう男性の暗めなナレーションを入れるのは勘弁してほしかった。
新館入口(2014.6.22~)
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© 2007 「読後充実度 84ppm のお話」
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勝手に命名、登場させてすいませんでした(とは思ってないですけど)。このブログを飾る、とんでもないことをしでかしてくれることを期待しています(たとえばファルケ氏のように地下鉄に突進するなどの危険な行為や、アイゼンシュタイン氏のように他人の家の庭にゲロを吐いてしまうような迷惑行為は真似しないでくださいね)。