f4f4676c.jpg  2月25日19:00~、Kitara

 指揮は尾高忠明。チェロ独奏はミクローシュ・ペレーニ。

 プログラムは、武満徹/ハウ・スロー・ザ・ウィンド、ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第2番と交響曲第5番。

 あまり生で聴ける機会がないチェロ協奏曲第2番と、ショスタコーヴィチの作品ではいちばんよく知られている交響曲第5番ということで、楽しみにしていたコンサートである。

 1曲目の武満の「ハウ・スロー・ザ・ウィンド(How slow the wind)」(1991)は、札響としては初めて演奏する作品だそう。

 武満徹(1930-96)は世界中に名が知られている日本を代表する作曲家であり、札響との縁も深かったが、私には彼の音楽の“魅力”がよくわからない(尾高/札響の演奏でシャンドスから出ているCDの「波の盆」はとても美しく感動的な曲だとは思う)。

 この日初めて耳にした「ハウ・スロー・ザ・ウィンド」も、どこも”つかめない”まま終わってしまった。私は武満作品とよっぽど相性が悪いのだろう。
 ただ、私が知っている武満作品のなかでは、この曲はまだ友好の兆しがあった。
 西洋的な響きの中に日本的な響きが交わっていくような音楽。演奏もすばらしかったのではないかと思う。

 チェロ協奏曲第2番は、どこか深みに欠ける演奏。オーケストラが悪いのではなく、これが尾高の解釈なのか?切なさ不足という感じか?独奏のチェロも音が鳴りきっていない印象があった。
 なお、この曲はスコアでは、作曲者の指示として「ハープは最低2本」とされているが、この日は1台であった。

 交響曲第5番は、オーケストラも非常に良く鳴っており、札響サウンドを堪能できた興奮ものの演奏。
 不思議なことにショスタコーヴィチの交響曲第5番は録音の場合、評判の良い演奏(CD)でも、聴いてみるとオーケストラの響きが薄くてがっかりさせられることが少なくないのだが、生で聴くとそんなことは全然ない“厚い”作品である。当夜の札響の響きはとても密度が高いもので、まさに鳴りきっていた。
 ただ、興奮させられたし、好演だったが(これは3月1日の東京公演でも、東京の聴衆に満足してもらえるだろう)、終わってみると「良かったね……」の一言で済ませられるようなものでもあった。

 尾高の演奏は全体に速め。それは悪くはない。が、強弱やメリハリがあっても、あっさりと音楽が進んでいく。
 
 尾高がこの曲をどのようにしたかったのか?鳴り渡らせて興奮を呼び起こすように調理したかったのか?
 少なくとも私には、深遠という言葉はあまり当てはまらないアプローチに思えたし、そのとき興奮はしたが感動は残らなかった。
 男って終わってしまうと冷たいのね……

 オーケストラは非常に良い演奏をした。
 特にショスタコの2曲では、ホルンとフルートの見事な演奏に熱い拍手をおくりたい。

5b69d13a.jpg  いま、ヤンソンス/ウィーン・フィルによる第5番を聴いているが、昨晩の演奏はこんな感じの演奏だったような気がする(だったら良い演奏じゃないかって?そう、良い演奏なんだけど……)

 演奏後、今回で定年となるパーカッションの真貝さんの挨拶が。
 カスタネットの演奏でパフォーマンス。
 常々書いているが、こういう儀式を一連のコンサートの流れに組み込むことに私は反対である。
 ただ、この好演だが名演かどうかわからなくて困惑していた私には、これで気持ちを切り替えられて良かった(困惑する必要はないんだけど……)。

 出張で3月の東京公演も聴くことができる。
 もう一度、期待をこめてコンサートに臨みたい。

 ヤンソンスのショスタコーヴィチ交響曲全集のなかで、第5番は1997録音(写真上がボックスの写真。下が第5番のジャケット写真)。EMI。
84fbc66b.jpg  第4楽章はゆっくりした歩みで始まるが、すぐに急加速するところが面白い。